『藤井聡太論~将棋の未来』(谷川浩司、講談社✙α新書:2021、5、19第1刷・2021、6、22第4刷)

2021 . 8 . 5

2021_073

 

 

帯には「天才だけが知る若き天才の秘密」とある。谷川さんも紛れもなく「天才」。その谷川さんが、新たな現れた数十年に一度の天才・藤井二冠について語るのは、将棋にそれほど関心がなくても興味深い。

藤井二冠のスゴさを表している中でも、「勝率」に関して書かれた部分は、

「天才のみが気付く、天才のスゴさ」

だと思った。つまり、

「勝率八割の世界と、勝率八割三分~五分の世界は、まったくと言っていいほど違う」

ということだ。(38ページ)具体的には、

「勝率8割」=「4勝1敗」

だが、

「5勝1敗」=「勝率8割3分3厘」

「6勝1敗」=「勝率8割5分7厘」

ということ。そして、藤井二冠のプロ入り以来の勝率は、

2017年度=「勝率8割3分6厘」

2018年度=「勝率8割4分9厘」

2019年度=「勝率8割1分5厘」

2020年度=「勝率8割4分6厘」

なのである。

超一流のプロは「4勝1敗」だが、それを超えるような「スーパー超一流」の勝率を、藤井二冠はプロ入り以来続けているということだ。相手もどんどん強くなってきているにもかかわらず、である。もうこれを見ただけで「ほえー」となってしまったのでした。

 

 

(2021、7、29読了)