「ミヤネ屋」でテロップを見ていると、コメントフォロースーパーで、
「○○くらい」
というものが多いです。しかし、実際に話しているのを聞いてみたら、
「○○ぐらい」
と「ぐ」を濁っているケースが多いのです。
実はこれ、本来は「ぐらい」と濁るんだと思うのですが、関西人は「くらい」と濁らないケースが多いので、その結果こういう発注になっているのではないか?と思います。つまり、
「100人くらい」=関西
「100人ぐらい」=関東
なのですね。
ということで私は、「ミヤネ屋」で「○○くらい」という発注があっても、もう大体「○○ぐらい」に直しているのですが、先日、
「どのくらい」
というものを、
「どのぐらい」
と「濁る」ように指示したところ、校閲チェックで来てもらっている、元・読売新聞大阪本社校閲部長のAさんから、
「この『くらい』は、濁らないのではないでしょうか?」
と言われました。そもそも「どのくらい」は「連語」で漢字で書くと、
「何(ど)の位」
となり、
「官位の位(くらい)の、どれに当たるのか」=「どの『位(くらい)』」
が語源であるから、
「連濁はしない」
ということのようです。その点は、
「〇〇人ぐらい」
という「量・数」を表す場合とは違うのではないか?という話です。
『明鏡国語辞典・第3版』で「くらい」を引いたところ、「使い方」として「注意書き」でこう書いてありました。
『「くらい/ぐらい」は今は区別なく使うが、古くは、体言には「ぐらい」、コソアド系の連帯しには「くらい」、活用語には「ぐらい」「くらい」ともに付いたという。【注意】時の疑問詞に付く「いつぐらいに始まりますか」「何時ぐらいに伺えばいいですか」「実施予定は何日ぐらいですか」などは、新しい使い方。正しくは「ころ」「ごろ」を使う。』
そうなのか!勉強になるなあ。
さらに「品格」という見出しの下に、
「【前後】幅一メートル前後の布【ばかり】十日ばかり前の話【ほど】行列ができるほどの人気店」
とありました。つまり「ぐらい」を使って、
「幅一メートルぐらいの布」
「十日ぐらい前の話」
「行列ができるぐらいの人気店」
とするのは「品格がない」と『明鏡国語辞典』は判断しているのでしょうね。
「前後」「ばかり」「ほど」を使ったほうが良いと薦めています。
大変、勉強になりました。
「平成ことば事情3611『ぐらい』と『くらい』」もお読みください。


