従来、「障害」と表記されて来た表記について、近年、
「『害』の漢字のイメージが悪いから『障がい』と平仮名で書くケース」
が出て来ました。自治体の担当部署の名称でも、
「障がい」
という表記を採用しているところも増えているようです。しかし多くのメディアは、まだ、
「障害」
のままです。在阪のMBSは、「障がい」を採用したそうですが、東京キー局のTBSは「障害」のままため、ローカル番組とネット番組では表記を変えているそうです。
また、NHKは「東京パラリンピック」の「競技の放送」に限り、テロップや字幕などでは大会組織員会の表記に従って、
「障がい」
と表記することを2021年6月23日に明らかにしました。ただ、競技放送以外ではパラリンピックも含め、従来の、
「障害」
を使うとのことです。
また「害」ではなく「碍」を使った、
「障碍」
という表記は、「碍」が常用漢字ではないために、あまり使われていません。2010年の常用漢字表改定の際にも、常用漢字に入れるかどうか話し合われましたが、最終的には採用は見送られました。
そして、「2020年」に開催予定だった「東京オリンピック・パラリンピック」の開催を「2年後」に控えた2018年、衆参両院の文部科学担当の委員会でも「碍」の字の常用漢字への追加の可否を検討するよう政府に求めていました。
それを受けて検討を行っていた文化庁は、2021年2月26日、文化審議会の小委員会で、
「追加を見送る」
という結論をまとめました。その根拠としては、2017年に内閣府が行った調査で、
「『障碍』という表記がふさわしいという人の割合が『2,5%』しかなかったこと」
などを挙げ、
「『碍』の字の使用は、広がっていない」
と判断したのです。ただし、
「次の常用漢字表の改訂で、改めて検討する」
と明記し、将来の追加の可能性は残すそうです。
「毎日新聞」2021年2月22日付夕刊に載った、自らも全盲の星加良司・東大准教授のインタビュー記事によると「障害のモデル」には
「『社会モデル』と『個人モデル』」
があるといいます。
「社会モデル」とは、
「社会が障害のない多数派に合わせてデザインされているから、障害者は不適合を感じるのだ」
というもので、一方の「個人モデル」は、
「障害はその人の身体の機能の問題で、リハビリなど個人の努力で克服するものだ」
という考え方。そして、
「これまでの『個人モデル』から『社会モデル』へと変化を促さなくてはならない」
と星加准教授は説きます。そして星加准教授は、
「パラリンピックの4つの価値」
である、
「勇気・強い意志・インスピレーション・公平」
のうち、前の3つは「個人モデル」に属するが、これから強調すべきは「4番目」の、
「公平」
であると語っていました。つまり、
「個人モデル」=「自助」
「社会モデル」=「公助」
ということで、「公助」よりも「自助」を求める首相の発言などは、まさにこの主張に、
「逆行」
している態度ですね。


