すごいなあ、33年で42刷!大ロングセラー。私も表題作を読んだことが無かったのでこの機会に読んでみようと手に取った。長編だと思っていたら、短編集だったのか。表題作はすぐに読めた。全然、思っていたのと違ってびっくりしました。
「ジョゼ」の本名は「クミちゃん」で、体に障害があり車いすに乗っておばあちゃんと住んでいたが、そのおばあちゃんが亡くなり、それから年下の恒夫と結婚したなんて、そんな物語だったとは知らなかった。
この短編集にはよくデザイナーが出て来るけど、田辺聖子は、
「ディザイナー」
と表記しているんだね。その他も使っている単語や表現が独特。まあ、時代もあるけど。
・「毒にも薬にもならぬような短大へいき」(40ページ)
・「ウェディングドレス集」(41ページ)
・「どないぞせな、あかなんなあ」(41ページ)
・「ハイ・ミスが二人」(42ページ)
・「世故(せこ)たけている」(47ページ)
・「オレがちゃんとせなんだら『土仏(つちぼとけ)の水遊び』、いう奴ちゃ。なしくずしに費消(つこ)うてまう」(100ページ)
・「おとなしやかな笑いも好きでした」(105ページ)
・「『町そだちは、所詮、あきまへんな』と堀サンは口がるくいい」(107ページ)
・「ワルクチをいっていますが」(108ページ)
・「堀サンは舌づつみを今から打つのです。」(114ページ)
・「それなのに、秀夫のほうが、さきに不機嫌になっている。どうやら秀夫はえり子の不機嫌を先くぐりしているらしい。えり子に責められるのをおそれて、自分のほうが不機嫌で鎧(よろ)って防禦(ぼうぎょ)しているのかもしれない。」(122ページ)
・「街すずめのような暮しが身になじんで、とくに理想を追わなければ大阪は住みやすい街だった。」(125ページ)
・「秀夫は、天王寺の老人夫婦の実子ではない。養子で入って天王寺の家を継ぎ、そこへ京子を迎えたのだった。『取り子・取り嫁』と大阪でいう、養子夫婦である。」(125ページ)
・「えり子は歯うらに何だか金気(かなけ)くさいような嫉妬の味をさぐりあてていたが」(128ページ)
・「コッテ牛みたいな奴でなあ」(130ページ)
・「遊び好きで尻軽でなあ」と憮然としていっていたことがあった。」(130ページ)
・「キチンのテーブルで」「ジノリのイタリアン・フルーツのデザインが好きで、紫の木の実や青い花のとんだコーヒーカップと受け皿一組が一万三千円するのを、一組、一組、たのしみながら長いことかかって蒐(あつ)めて、やっと四組になったところで、稔と離婚すrことになってしまった。」(150ページ)
・「その子、僕と結婚できへんかったら死ぬ、いいよんねん」と稔は憮然としていい、頭を掻いている。」(158ページ)
・「彼は会社に近い都心のマンションに独り住みしているのである。」(220ページ)
・「連は妻のワルクチをいったが」(221ページ)
・「あんたのスケベは度が深いデ。煮返して、かなり味が濃うなっとる。煮詰まっとるんやな」(240ページ)
・「以和子の『煮詰まった』雰囲気を嗅ぎ当てたのはちょっとマシや」「久野のほうがまだ煮詰まっていないのだ。」(241ページ)
・「時々貧乏震いする癖のある」(241ページ)
・「鷺洲の安い私営アパートに住み」(243ページ)
・「コックリと味わっている人生の中身は」(244ページ)
・「子宮の在(あ)りどこを知る」「胃袋の在りどこを知るうまい水、という川柳があるが」(244ページ)
勉強になりました!
(☆4つ)


