8126「意宇川のアクセント」

2021 . 7 . 8

8126

 

7月7日早朝にかけて、「線状降水帯」の発生で集中的な豪雨が降った山陰地方。

その島根・松江市の、

「意宇川(いうがわ)」

ですが、ニュースを見ていたらそのアクセントが「3種類」ありました。

7日朝10時の「NHK」のアナウンサー(東京)は、

「イ/ウガワ」

という「平板アクセント」でしたが、日本テレビ「ストレイトニュース」のなかで中継した地元・日本海テレビ(と言っても、「島根」ではなく「鳥取」ですが)の鳥取出身の女性アナウンサー(定常アナウンサー)は、

「イ/ウ\ガワ」

と「ウ」が高い「中高アクセント」でした。

そして、「ミヤネ屋」で現地「意宇川」の近くから中継をした中島リポーターは、

「イ\ウガワ」

と「頭高アクセント」でした。

さて、どれが正しいんでしょうね?

・・・って、そこで終わっては仕方がないので『NHK日本語発音アクセント新辞典』を引いてみました。

たださすがにこの「意宇川」という川は載っていないでしょうから(実際、載っていなかった)巻末の「複合語のアクセント」の、

「~川」

を引いてみました。すると、

「~川」【地名】

とあるではないですか!

そうか「~川」は「地名」と「川そのものの名前」があるけど、それはアクセント的には分けて考えているんだ!

まず「地名」の「~かわ」は、

「○○○\カワ」(大川、肱川(ヒジカワ)、堀川)

という「カ」の前で下がる「中高アクセント」と、

「○/○○カワ」(荒川、十津川、富士川)

という「平板アクセント」が載っていました。あれ?でも「荒川」は「荒川区」という地名だけどもともとは「川の名前」で「荒川」なのにな・・・。

そして「RIVER」のほうの「川」は、なんと「ガワ」と「濁る」ものしか載っていませんでした。そうなの!?そういえば「意宇川」も「川」は濁るな!それはさておき、

「○○○\ガワ」(暴れ川、天井川:アマゾン川、石狩川、奥入瀬川(オイラセガワ))

「○○○ガワ」(宇治川、江戸川)

となっていました。

で、さあ「意宇川」です。これのどれに当てはまるか?

「川」の前が「イウ」と「2拍(2音節)」なのは「宇治川」「江戸川」と同じなので、そうだとすれば、

「イ/ウガワ」(平板アクセント)

ですね。でも「地名」のほうで出て来たけど「荒川」は「荒川区」の地名でもあるけど「川の名前」でもあり、しかも「川」の前が「2拍(2音節)」なので、それに当てはめると、濁らずに、

「イ/ウカワ」(平板アクセント)

かな。いずれにせよ「平板」か。

あと可能性としては、「大川」は「オーカワ」で「川」の前が「1拍(1音節)」の母音なので、

「オ\ーカワ」(頭高アクセント)

となりますが、「意宇川」も「イ」「ウ」の母音が続くので、「イウ」=「ユー」のような感じになって、

「イ\ウガワ」(頭高アクセント)

になる可能性が、無きにしも非ずか。愛媛県の、

「壬生川(ニュウガワ)」

が、発音上は、

「ニュ\ーガワ」

となるのと似ていますね。

ということで、結論は出ませんでした。

 

(2021、7、7)