8086「『規則遵守』と『2度とないよう』」

2021 . 6 . 21

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大関・朝乃山が緊急事態宣言中に、協会から外出が禁止されていたにもかかわらず、接待を伴う飲食店に複数回、飲みに出かけ、それに対する日本相撲協会の聴取にも「ウソ」の回答をしていたことがわかり、6場所の出場停止と50%減給6か月の懲戒処分となりました。

驚いたのは、一緒に飲みに行っていて、協会の聴取に関しても口止めをするようにアドバイスしたのが、年上のスポーツ紙の記者であったということでした。「スポーツニッポン新聞社」は6月10日、東京本社編集局元記者(44)を同日付で諭旨解雇処分にしました。

これに関して「スポーツニッポン新聞社」はホームページで、

「おわび」

を載せました。その文章の中に、

「規則遵守」「2度とないよう」

という文字がありました。

同じ文章がそれを報じた実際の「スポーツニッポン」の紙面では、

「規則順守」「二度とないよう」

となっていました。

実は、新聞や放送各社が所属する「日本新聞協会新聞用語懇談会」編の『新聞用語集』では、「『遵守』の『遵』の字は、常用漢字ではあるが、使わない」

ことになっていて、代わりに、

「順」

を使うことになっているのです。

スポニチの「会社広報」はそういう事情を知らず、校閲(整理部?)は、きっちりそのルールを(文字通り)、

「順守した」

ということでしょう。

同じく「2度とない」も、言葉の意味は、

「決して」

という意味合いで、

「3度とないように」「4度とないように」

とは置き換えられないので、「漢数字」で、

「二度とないように」

と書くのが校閲のルールなので、きっちりそれが守られているが、「会社広報」は特にそういう意識はなかったということでしょう。つまり、

「紙面には校閲チェックが入っているが、会社の謝罪文には校閲が入っていない。」

ということがHPと実際の紙面から見て取れました。

 

(2021、6、21)