8083「唐揚げと空揚げ2」

2021 . 6 . 14

8083

 

 

逃げていた千葉の「ミナミジサイチョウ」の捕獲作戦が展開されたときに、「ミヤネ屋」で中継をしました。その際に、プロの「バードウオッチャー」として、

「♪鳥くん」

にご出演いただきました。

それですごく反響があったそうで、きょう(6月11日)も「♪鳥くんはどんな人?」と紹介しました。その中の「禁断の質問」として、

「♪鳥くんは、鶏肉を食べるのか?」

という質問がありました。

「大好き」

だそうです。

「からあげ」

も食べるそうです。その「からあげ」の表記ですが、現在の『新聞用語集2007年版』では、

「空揚げ」

になっているのですが、世の中は、

「唐揚げ」

が圧倒的ですよね。これに関しては20年前(!)の「2001年」に、

「平成ことば事情304唐揚げと空揚げ」

に書きました。

20年という歳月は長いもので、実は来年(2022年)3月刊行予定の『新聞用語集』の改訂版では、

「唐揚げ」

を認めることになっているのです。

読売新聞や朝日新聞、共同通信なども「唐揚げ」をすでに認めています。(朝日と共同は「から揚げ」も可)

そこで、きょう(6月11日)の「ミヤネ屋」も「先取り」して、

「唐揚げ」

でOKにしました。

ちなみに「2008年=13年前」の「ミヤネ屋」にも「唐揚げか?空揚げか?」問題が出てきていたようです。その際は、「読売新聞の用語集」(2008年版)でも、まだ、

「空揚げ」

の表記しか認めていなかったので、テロップは、

「空揚げ」

にしたところ、スタッフから、

「道浦さん、『から揚げ』の『から』は『空』なんですか!?『唐』じゃないんですか?」

と質問が来たので、

「一般のお店では『唐揚げ』も多いけど、用語集などでは『空揚げ』になっているんあだよね。衣を着けないで揚げるから『から=空』なんだよね」

と答えたらと、

「そうなんですか・・・でもそれだと『からあげ』っぽくないんで『から揚げ』にします!」

ということで、

「から揚げ」

というテロップにしていました。やはり時代とともに、言葉は変わるのですねえ。

なお、今回、国語辞典での表記も調べてみました。

 

【見出し】    【本文】

デジタル大辞泉(電子辞書)    空揚げ    「唐揚げ」の字をあてることもある

精選版日本国語大辞典(2006)   空揚げ    「唐揚げ」と書くことも多い

新選国語辞典(9版・2011)    空揚げ(唐揚)

三省堂国語辞典(7版・2014)   唐揚げ・空揚げ

現代国語例解辞典(5版・2016)  から揚げ(空揚げ・唐揚げ)

~本辞典の前の版は、見出し語を「空揚げ」にして「中華風のものには『唐揚』を当てる」と注記を付けていたが、コーパススでも「唐揚げ」が過半数を占め、「空揚げ」はわずか6%。ちなみに『日本唐揚協会』では「唐揚げ」表記で統一している

広辞苑(7版・2018)       空揚げ     唐揚げとも

岩波国語辞典(8版・2019)    空揚げ・唐揚げ

大辞林(4版・2019)       空揚(げ)・唐揚(げ)

三省堂現代新国語辞典(6版・2019)唐揚げ・空揚げ

新明解国語辞典(8版・2020)   空揚げ・唐揚げ

明鏡国語辞典(3版・2021)    唐揚げ(空揚げ)

 

ということでした。

 

(2021、6、11)