「絶海の孤島である、ガラパゴス諸島」
は、そのために、この島でしか生き残っていない昔の生物などが保存された貴重な存在なのですが、逆にその地理的状況から、
「世界から取り残されている状態」
と解して、
「ガラパゴス化」
という表現が「日本の携帯電話」に関して使われたりしましたね。そういった携帯電話を、
「ガラケー(ガラパゴスケータイ)」
と呼んだのですよね。また「ガラパゴス状態のスマートフォン」を、
「ガラホ」
とも呼ぶそうですね。でもそれって、
「ガラパゴスをバカにしているのではないか」
「ガラパゴスの人たちに失礼なのではないか?」
という意見もあります。
そもそも「ガラパゴス」って、どこの国に所属しているの?人は住んでいるの?
調べたところ、
「エクアドル領で、人口は約2万5000人」
だそうです。日本で同じ規模の自治体を調べたら、
「岩手・遠野市」「和歌山・有田川町「富山・立山町」
などがありました。
また「ガラパゴス」は「ゾウガメ」の意味ですって。
「野生動物の楽園」
ですよね。ゾウガメもいるし。それは大変失礼しました。
そういう「プラスイメージ」が最初にあったので、「ガラケー」という呼び方にもそれほど批判的な声は上がらないのでしょうか?でもやはり「侮蔑的な印象」「自虐的表現」のように感じました。
似たようなもので思い出したのは、
「チベット」
です。最近はもう完全に「死語」になったと思いますが、交通が不便で人が行けないような土地を指して、1970年代ぐらいまでは、
「日本のチベット」
という差別的な表現がありました。しかし、最近は「チベット」というと、中国の専制的支配を受け、ダライ・ラマを慕う人たちがそれに立ち向かっているというイメージがあります。
あと、「公害病」の名前になってしまった、
「水俣」(熊本「水俣病」)
「四日市」(三重「四日市ぜんそく」)
「新潟」(新潟イタイイタイ病)」
なども、病気が起こった土地ですが、その病気で「マイナスイメージ」が付くことを、地元では当然、嫌うでしょう。
同じことは、「新型コロナウイルス」に関しても言われ、
「武漢ウイルス」
とは「呼ぶな」とか(トランプ前・アメリカ大統領は、最後までそう言っていましたが)、
「変異株」
に関しても、
と呼ばないようにしようと、5月31日にWHOが「ギリシャ文字」を使った呼び名を提案しました。それによると、
「イギリス株」 =アルファ
「南アフリカ株」=ベータ
「ブラジル株」 =ガンマ
「インド株」 =デルタ
です。背景にはインド政府が5月、「インド型変異株」という呼び名に関して抗議したことがあります。やはり、言われると嫌ですよね。
マスコミでも変更の動きが出始めており、NHK・フジテレビ・読売新聞・日経新聞は「併記」するようになっています。6月23日の「読売新聞・夕刊」では、
「感染力が強いとされるインド型(デルタ型)変異ウイルス」
という書き方で、2回目は「インド型」でした。同じ6月23日の「日経新聞・夕刊」は、
「感染力が従来型より強い新型コロナウイルスのインド型(デルタ株)」
という表記でした。
なかなか難しい問題ですね・・・。他の感染症の名前では、
「エボラ出血熱」
だって、「エボラ」というのは、最初の患者の出身地(旧ザイール=現コンゴ民主共和国)を流れる、
「川の名前=地名」
なのですが、特に変更されていませんね。
「日本脳炎」
だって、そのままですよね?
こういった違いは、どこから出て来るのでしょうか?
抗議する人が「いる」か?「いない」か?でしょうか???
本当に難しい問題です・・・。
と、思っていたらきょう(6月23日)の「日経新聞」朝刊の1面特集の、
「円安が生んだ二重価格」「もうカニは買えない」
という興味深い見出しが目について読んでいたら、最後に、
「消費市場の断層は、購買力が低下した『ガラパゴス経済』をくっきりと映し出す。」
と「ガラパゴス」が早速、出て来ました。この連載記事のタイトルは、
「安いニッポン~ガラパゴスの転機②」
でした。
グーグル検索では(6月23日)
「ガラパゴス」 =558万0000件
「ガラパゴス化」 = 20万3000件
「ガラパゴス 孤立」= 35万4000件
そして、
「ガラケー」 =1630万0000件
「ガラホ」 = 695万0000件
でした。「ガラパゴス化」は「経済用語」のようですね。
ついでに、関係ないけど、
「ガラモン」= 32万4000件
でした。「ウルトラQ」に出てくる怪獣です。
「ガラパゴスか」は、
「欧米か!」
のように、ギャグには使われていないようです。



6月24日のネットで「ハフィントンポスト」を見ていたら、前日の最高裁での「夫婦別姓・合憲判決」について報じていました。その見出しに、こうありました。
「日本はガラパゴスから脱するチャンスをまた逃した」
と申立人の一人、駒澤大学法学部の大山礼子教授(67)の言葉として出ていました。法律の世界でも「ガラパゴス」は使われているようです。
(2021、6、24)