8080「初めまして、ですよね」

2021 . 6 . 9

8080

 

 

ネットの記事を見ていたら、女優の瀧本美織さんが、同じ事務所の俳優・柳楽優弥さんと、映画『HOKUSAU(北斎)』で共演したという記事が出ていました。

そこで瀧本さんは、インタビューに答えて、

「実は今回がはじめましてだったんです。」

と話していました。

以前から、初対面の人に対する挨拶で、時々耳にする言葉に、

「『初めまして』ですよね?」

というのがあります。これ、普通に、

「初めまして」

でいいと思います。疑問文にして投げかけられるのは、ちょっと嫌な感じがします。

この言い回し、いわゆる、

「業界人=芸能界・マスコミ・音楽業界の人」

が、よく使うような感じがします。

「初めてかどうか記憶がはっきりしないが、もしかしたら会ったことがあるかもしれない」

というようなケースですが、それなら、シンプルに、

「お会いするのは、初めてでしたっけ?」

で良いと思うのですが。

「初めまして」という挨拶の言葉を用いて、それに疑問文を付けるのが「軽い」感じがするのかもしれません。

芸能人などは、テレビ画面などでお互いに見たことがあって、共通の知人も多く、直接会ったことがないのに、すでに会ったことがあるような気がするケースもあるので、こういった挨拶になるのかもしれません。でも一般の人は、あまり使うケースはない気がするのに、時々耳にします。

いつ頃から使われ始めたんだろう?

と思ってネット検索してみたところ、

「2018年12月」

に、すでに「劇団ひとり」さんが「違和感」を表明していました。それによると、

「初対面のときに『初めましてですよね』と言うのは失礼だ」

と。そして、

「会ったことを忘れて『初めまして』と言われる分には『前にお会いしましたよ』(忘れたんだな)で済むけれど、『初めましてですよね?』という問いかけは、『私はあなたに会ったことがあるかもしれないけど、そんなに印象に残っていないので覚えていない。でも、あなたは私に会ったことを覚えてるんでしょ?』という問いかけになっていて、それは失礼だ」

というのです。

なるほどなるほど、「初めまして、ですよね?」に感じる違和感・不快感は、

「自分に対する、相手の認識の軽さにある。敬意に欠ける」

とでも、もっと昔から使われているような気がして、さらに調べたら、一番古いもので、

「1997年3月」

のフジテレビの番組のサイトで、「SMAPの中居正広さん」「ピチカート・ファイブ」のボーカル「野宮真貴さん」と、ベース・ギター・キーボード・ボーカルの「小西康陽さん」を招いての鼎談で、野宮さんが、

「よろしくお願いします。はじめましてですよね」

と言い、それを受けて中居さんが、

「はじめましてですね」

と答えています。

しかし、この野宮さんの「はじめましてですよね」は、「疑問形」の「初めまして、ですよね?」ではなく、「確認」のような感じがします。だから、それを受けた中居さんも、「はじめましてですね」と「確認・承認」のように答えている感じがして、それほど失礼な感じはしません。文字だけなので、確実ではありませんが。

それにしてもここ数年、「初めまし、ですよね?」という言い回しは、非常に増えて来た気がするのです。皆さんは、気になりませんか?

 

(2021、6、8)