8089「卒業してぶり」

2021 . 6 . 21

8089

 

 

「ぶり」

という言葉は、

「3日ぶり」「2週間ぶり」「3大会ぶり」「4年ぶり」

のように、

「期間の数字(と単位)」

が入るのが、従来の日本語でした。

それに対して、ここ10年~20年で広がった表現は、

「正月ぶり」「卒業式ぶり」「いつぶり」

といったもので「期間」ではなく、

「最後にその行為が行われた時・出来事」

のあとに「ぶり」を付ける言い方です。

従来、この場合は「ぶり」ではなく、

「以来」

を使って、

「正月(に会って)以来」「卒業式(で会って)以来」「いつ以来」

としてきたものが、「以来」の代わりに「ぶり」を使うことが多くなってきているのです。

そんな中、私が見つけた「さらに新しい『ぶり』の使い方」は、

「卒業してぶりくらい」

というもの。6月21日午前0時50分に「日刊スポーツ」のサイトで見つけた記事で、ダンサーでタレントの伊原立花さん(22)が、自身のYouTubeチャンネル「伊原立花のSTEP&GO」で「本気のダンス」を披露していると。それについての伊原さんのコメントを、

「久々にちゃんと踊りました。(高校を)卒業してぶりくらい」

と紹介しているのです。私の日本語に訳すと、この部分は、

「卒業以来」

ですが、ここ10~20年の言い方で言っても、

「卒業ぶり」

のはずがここでは「して」という言葉をいれて、

「卒業してぶり」

になっているのです。その体(てい)で言うと、

「正月ぶり」→「正月会ってぶり」

「卒業式ぶり」→「卒業式出てぶり」

「いつぶり」→「いつやったぶり」

のようになるのでしょうか?

「卒業」という言葉は「名詞」ですが「卒業する」という動詞の意味も含有しています。

それに対して「正月」「卒業式」は完全に「名詞」になっているので、この「卒業してぶり」にはなりにくいですが、「会って」「出て」という「動詞」をくっ付ければ、このパターンになりますね。

今後こういう言い方が増えるかどうか、注目です!

 

(2021、6、21)