8087「伝法はボウか?ポウか?」

2021 . 6 . 21

8087

 

 

「伝法」

という言葉は、

「悪ずれして、乱暴なふるまいをすること。また、その人。▼江戸時代、浅草伝法院の寺男は寺の威光をかさにきて無法を働いたことから」(明鏡国語辞典)

とあります。この「伝法」の読みですが、語源となった浅草の、

「伝法院」

は、そのHPに、

「デンボウイン」

と「濁音」の「ボ」になっています。しかし、「伝法な」と言う場合は、

「デンボウ」(濁音)か?「デンポウ」(半濁音)か?

手元の国語辞典を調べてみました。【B=デンボウ、P=デンポウ】

 

*デンボウ(デンポウとも)【B(P)】=5

精選版日本国語大辞典(2006)デンボウ(デンポウとも)

NHK日本語発音アクセント新辞典(2016)デンボウ【許容】デンポウ

広辞苑(7版・2018)デンボウ(デンポウとも)

岩波国語辞典(8版・2019)デンボウ(デンポウとも)

大辞林(4版・2019)デンボウ(デンポウとも)

 

*デンポウ(デンボウとも)【P(B)】=5

新選国語辞典(9版・2011)デンポウ=デンボウ(見出しは「デンポウのみ」)

三省堂国語辞典(7版・2014)デンポウ(デンボウとも)

現代国語例解辞典(5版・2016)デンポウ(デンボウとも)

三省堂現代新国語辞典(6版・2019)デンポウ(デンボウとも)

デジタル大辞泉(電子辞書)デンポウ(デンボウとも)

 

*デンポウのみ【P】=2

新明解国語辞典(8版・2020)デンポウのみ

明鏡国語辞典(3版・2021)デンポウのみ

 

*デンボウのみ【B】=0

 

という結果になりました。

真っ二つに割れています!

ただ、新しい辞書は「デンポウ」(半濁音)を採用しているようにも見えます。

 

落語好きな、大学時代の先輩によると、春風亭一朝師匠は、

「デンボウな」(濁音)

だそうです。また、大学の同期で浅草小学校出身の男は、

「地元では『デンポウな』(半濁音)であり、『デンポウジ』(半濁音)だ。

と言うのです。ウーム、難しい。

また、「大阪市此花区」にも「伝法」という地名がありますが、こちらも、

「デンポウ」(半濁音)

です。北港ヨットハーバーの近くです。昔、よく行きました。

 

(2021、6、21)