67万部のベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』(宮口幸治・著)の続編『どうしても頑張れない人たち』を読んでいたら、
「私も出院直前の彼らとの面接で」
「出院させなければならない現状を認め」(ともに101ページ)
というように、
「出院」
という言葉が出て来ました。その直前に、
「少年院入院者の約4割が」
とあるので、この「出院」は、
「少年院から出ること」
を意味していると分かります。
「刑務所」から出ることは、
「出所」
ですが、「少年『院』」だから「出院」になるのでしょうね。
でも、同じ「院」でも「病院」から出るのは、
「退院」
ですし、「大学院」は、
「卒業」
ですよね。
「卒院」
とは言わないですよね?それとも、
「単位満了退学」
でしょうか?
そして「少年院」は「退院」とも「卒業」とも言わないことは分かりました。
「出院」は、『広辞苑』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』には載っていませんでした。
『精選版国語辞典』には載っていました。
*「出院」
(1)人をしりぞけること。寺院を追い出すこと。
(2)議院に出席すること。登院。
(3)病院にはいっていた人が、病気が治って病院を出ること。退院。
で、(2)の用例は1879~79年、(3)の用例は1901年と100年以上前です。これらの言葉は、現在それぞれ(2)登院(3)退院が使われていますね。(2)の「議院に出ること」は、同じ「出る」でも意味は「正反対」で「院『に』出る」すね。ほかは「院『を』出る」。そして、「院『を』出る」の「院」の中には、
「寺院」
もあったんですね。
グーグル検索では(4月30日)
「少年院出院」 = 7990件
「少年院、出院」=2万8000件
でした。あまり使われていませんね。
(2021、4、30)


