8041「出院」

2021 . 5 . 3

8041

 

 

67万部のベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』(宮口幸治・著)の続編『どうしても頑張れない人たち』を読んでいたら、

「私も出院直前の彼らとの面接で」

「出院させなければならない現状を認め」(ともに101ページ)

というように、

「出院」

という言葉が出て来ました。その直前に、

「少年院入院者の約4割が」

とあるので、この「出院」は、

「少年院から出ること」

を意味していると分かります。

「刑務所」から出ることは、

「出所」

ですが、「少年『院』」だから「出院」になるのでしょうね。

でも、同じ「院」でも「病院」から出るのは、

「退院」

ですし、「大学院」は、

「卒業」

ですよね。

「卒院」

とは言わないですよね?それとも、

「単位満了退学」

でしょうか?

そして「少年院」は「退院」とも「卒業」とも言わないことは分かりました。

「出院」は、『広辞苑』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』には載っていませんでした。

『精選版国語辞典』には載っていました。

*「出院」

(1)人をしりぞけること。寺院を追い出すこと。

(2)議院に出席すること。登院。

(3)病院にはいっていた人が、病気が治って病院を出ること。退院。

で、(2)の用例は1879~79年、(3)の用例は1901年と100年以上前です。これらの言葉は、現在それぞれ(2)登院(3)退院が使われていますね。(2)の「議院に出ること」は、同じ「出る」でも意味は「正反対」で「院『に』出る」すね。ほかは「院『を』出る」。そして、「院『を』出る」の「院」の中には、

「寺院」

もあったんですね。

グーグル検索では(4月30日)

「少年院出院」 =  7990件

「少年院、出院」=2万8000件

でした。あまり使われていませんね。

 

(2021、4、30)