サブタイトルにあるように、「知っているようで知らない医学の言葉」が55語、説明されています。私たちのような仕事の者には、大変ありがたい一冊です。
一般的には(報道も含めて)使われているけど、お医者さんは使わない言葉・言い回しが結構あるのだなと思いました。
たとえば、お医者さんは「盲腸」とは言わずに「虫垂炎」と言うのは知っていましたし、大分、人口に膾炙しました。
また、今回の新型コロナウイルスの件で「ウイルス」は「菌ではない」ので「除菌」という言葉は、本来使えない、「(ウイルス)除去」とする。またウイルスは厳密には「生物」ではないので「死ぬ」とか「生きる」とか言えないので、当然(「菌」でもないのいで)「殺菌」
とも言えない、「不活化」と言うと。その辺りはすでに私も調べて書いたりしているので、
「やっぱりな」
と納得でした。
また、タイトルともなっている「がん・癌」については、「胃がん・大腸がん・肺がん・膀胱がん」など「上皮性のがん」は「がん」と書いても「癌」と書いてもよいが、上皮ではない「骨」や「軟骨」「筋肉」などのがんは「癌」ではないのだそうです。これらは「肉腫」「骨肉腫」だそうです。そして「血液のがん」も「癌」ではなく「白血病」等の名前があると。そもそも「癌」は常用漢字ではないので、マスコミでは「平仮名」で「がん」と書きます。(カタカナで「ガン」とは書かないことになっています)
専門分野の人が、こうやって一般の人との間に立って「通訳」してくれると、その分野(この場合は「医学」)が身近になるなと思いました。
(2021、5、12読了)


