単行本は2015年6月に出ている。評判になっているのは知っていたが、それほど読みたいと思っていなかった。ホラーだと思ってました・・・。
映画化もされて大変評判が良い。そのタイミングで(?)かな、文庫本になったので買った。3か月で7刷ってすごい人気。で、4年も読まずに積読だったが、ついに読みました!
最初の方が会話ばっかりで、台本みたいな感じ。これは、若い人向けだなあ・・・。もう、こういう感じじゃないからなあ。ラストも唐突過ぎて・・・。
読者の「世代」を選びますね、これは。
主人公の名前が「山内桜良」と「志賀直樹」。ちょうど「桜の季節」に読むのにはピッタリ。
「誤植?」と気になったのは、
「意味ないこと言ったんだから追究しないでくれるかな」(39ページ)
この「追究」は「追及」なのではないか?
その前に会話は、
「どこか寄りたいところとかは?」
「強いて言えば、本屋かな」
「本、買うの?」
「いいや、用事もなく本屋に行くの好きなんだ」
「へえ、なんだかスウェーデンのことわざみたいだね」
「どういう意味?」
ときて、
「意味ないこと言ったんだから追究しないでくれるかな」
となるのです。
あと、
「この時僕が彼女の心中を知ることは敵わなかったわけだけど」(227ページ)
この「敵わなかった」ではなく「叶わなかった」では?
それ以外に気になった部分を抜き書きして、一言、感想を。
「中学の時、クラスにいたんだ。きちんと何にでも『さん』をつける女の子。本屋さん、店員さん、魚屋さん。教科書に出て来る小説家なんかにもね。芥川さん、太宰さん、三島さん。果ては食べ物にもつけてた。大根さん、なんて具合に。」(66ページ)
~それは「関西」では普通。特に「京都」では。
「辛気臭いなあ、旅行はもっとうきうきしてなきゃ!」(90ページ)
~「辛気臭い」の使い方。
「お風呂入りなよ。ジャグジーよかったよー」(124ページ)
~「ジャグジー」は特定商品名。一般名詞は「ジェットバス」。
「有名人で一番尊敬しているのは『杉原千畝』」(136ページ)
~へえー。「千人の命のビザ」。たぶんこういったところは「著者の心情」が反映されているんだろうなあ。
「シークレットで。ミッフィーちゃん」
「もしかして、ミッフィーちゃんのバッテンが口だと思ってる人?あれは真ん中で上と下に分かれてるんだよ。上が鼻で下が口なんだ。」
「嘘ぉ!」(161ページ)
~えーーーー、ウソだろ!?
「もう一度言う。僕は心底呆れる。どうして彼らは多数派の考えが正しいと信じているのだろうか。きっと彼らは三十人も集まれば人も平気で殺してしまうのではないか。自分に正当性があると信じてさえいれば、どんなことでもしてしまうのではないか。それが人間性ではなく、機械的なシステムであることにも気づかずに。(205ページ)
~この辺りは少し唐突で、これも著者の意見が、主人公の口を借りて反映されているのだろう。
「生きるってのはね」
「…」
「きっと誰かと心を通わせること、そのものを指して、生きるって呼ぶんだよ」(222ページ)
~このあたりは「名言」だなあ。
「ここってコンサート会場で私はMC中だっけ?」(223ページ)
~「MC」は、若者の間では普通に使われているのか。
「彼女は頬(ほほ)を膨らます。」(223ぺージ)
~「頬(ほお)」ではなく「頬(ほほ)」とルビが振ってありました。
「桜が散るのを見てせつなくなるってよく言うけど、私は咲くのを見てもせつなくなる。あと何回この桜を見れるなって計算しちゃうから」(271ページ)
~「見れる」=「ら抜き言葉」。
「石に跳ね返った水がしぶきになって頬(ほほ)に当たった。」(316ぺージ)
~これも「頬(ほお)」ではなく「頬(ほほ)」とルビが振ってありました。
以上です!


