7947「課金する?募金する?」

2021 . 3 . 11

7947

 

 

メディアジャーナリストである境治さんがフェイスブックで、

「ユーザーはどれに課金すべきか悩ましい」

というような文章の、

「課金する」

という言葉の使い方について、

「『課金する』という言葉の使い方が間違っている。言葉は時代と共に変わるとはいえ、『課金』は『お金を徴収する』のだから、徴収する側が主語じゃないとおかしいだろう!」

憤慨されていました。

おっしゃる通り!

だけど、このお金の、

「やりもらい表現」

に関しては「ギブ・エンドテイク」なので、どちらが主語かが「入れ替わりやすい」んですね。もう定着してしまった感がある似たような例では、

「募金する」

があります。文字を見れば「募金する」は、

「お金を募る」

のですから、「課金する」と同じで、

「お金を集める側が主語」

なのですが、今では

「募金に応じて、金を払う行為」

をも「募金する」と使ってしまっています。「24時間テレビ」なんかで、アナウンサーが、

「皆様の募金をお待ちしています」

と言っても、誰も怒りません(たぶん)。

『精選版日本国語大辞典』『新明解国語辞典・第8版』では、「募金」は、

「お金を集めること」

という本来の意味しか載せていませんが、

『明鏡国語辞典』は「第2版」では、

  • 寄付金などを一般から集めるっこと。またそのお金。

と載っていますが、2番目に、

「(2)【俗語】(1)に応じて、募金を寄付すること。またそのお金。▽主催者側の言い方をそのまま受けて言ったもの」

という意味を載せていました。

『三省堂国語辞典・第7版』「誤用」という立場で、2番目の意味に、

「(2)(誤った使い方で)おかねを寄付することまた、そのおかね。」

とあります。

『明鏡国語辞典』は、ことし1月に出た「第3版」ではさらに、

「→課金」

と書かれていました。やはり同じ用法に「課金」があることを示していました!見てみましょう。(用例は省略)

*「課金」=(1)料金を課すこと。また、その料金。(2)【新】料金を支払うこと。また、その料金。▽(1)が本来の意味。

と、もう辞書に載ったのか!

うーん、新発見です。僕はあまり「課金」は、しないからなあ。

境さん、教えてくださってありがとうございました。

 

(2021、3、10)