なんと11年前に、この本を購入していた。が、「積読」で、読んでいなかった。
11年前、「新型インフルエンザ」が流行った頃に購入したが、この本を読む前に、流行は収まってしまっていたのだが、ここにきて改めて読むと、今でも通用することが書かれている。
あの岩田健太郎先生が「11歳若い」ときに書いたのか。凄いな。その主義・主張は一貫しているとわかる。
「ワクチンは嫌い」
という人たちに、
「好き・嫌いで、ワクチンを否定しないでほしい」
という思いで、
「ワクチンとは何か」「ワクチンは本当に効くのか」
について説明したもの。
ワクチン嫌いの人、ワクチンはコワイと思う人は、やはり「副反応」(この本が書かれた時は、まだ「副作用」と言っていたようですね)の危険性が気になるのだと思います。私もそれは気になりますが、岩田先生は、手塚洋輔氏の、
「作為過誤と不作為過誤のディレンマ」
を引いています。つまり、
「作為過誤=ワクチンを打って、副作用(副反応)が起きる危険性」
「不作為過誤=ワクチンを打たずに、その病気にかかる危険性」
これを天秤にかけて判断すべきだという、まあごく常識的なことを提示しています。改めて言われると「その通り」だと思いました。
また、物事の考え方には「演繹法」と「帰納法」があります。これ、実は私、なかなか区別を覚えられないんだけど、つまりは、
「演繹法」=理論的にこうなるはずだ=理屈が先にある
「帰納法」=こういう事実があるから、合致する理論はこうではないか?と考えるやり方
で、岩田先生は、
「医学の世界では、演繹法よりも帰納法の方がうまくいく可能性が高い」
と経験的に語っています。
そうか、そう言えば「麻酔」も「なぜ効くのか?」は分かっていないけど「こうすればこう効くということは分かっている」という話を聞いたことがありますが、これは「帰納法」に基づくのですね(今は分かった気がするけど、また忘れるだろうなあ)。
しかし、11年の時を超えて、勉強になる本でした。


