先日、「ミヤネ屋」で、韓国の女子バレーボール界での「いじめ問題」をクローズアップしました。その際、事前に発注されたパネルやフリップ・テロップに、
「壮絶ないじめ」
というのがありました。しかし、これに関しては2019年の用語懇談会で議題に上がったことがありました。それによると、これは「壮絶」ではなく、
「凄絶(せいぜつ)ないじめ」
が正しいというのです。つまり、
「『壮絶』は本来『勇ましいこと』なので『壮絶ないじめ』はおかしい。『凄絶な』の誤用ではないのか?」
ということです。これに対して、毎日新聞の委員からは、
「『校閲発・春夏秋冬』というコラムで、『壮絶な被災体験』の『壮絶』は間違いで『すさまじい』『筆舌に尽くし難い』『苛烈な』『過酷な』に言い換えると書いた。しかし実際の紙面では『壮絶ないじめ』は出て来ている」
という意見が出ました。
また、去年(2020年)秋の会議でも、中国新聞の委員から、
「広島の原爆の惨禍について『壮絶』という言葉を使われることがあるが、これは本来『凄絶(せいぜつ)』ではないのか。意味が違う。」
という意見が。そして、2007年当時は「表外字」(=常用漢字ではない)だった(2010年に常用漢字になりました。気付かなかった。)
「凄」
を使った「凄絶」の言い換えとして、『新聞用語集2007年版』に、
「『壮絶』も載っている」
のだが?という指摘もありました。
実は『共同通信記者ハンドブック』にも、「凄絶」の言い換え例に「壮絶」が載っていました。だとすると、「誤用」だけど「許容」なのか?
今後の動向に注目ですが、とりあえずこの日の放送では、
「凄絶(せいぜつ)なイジメ」
に直して放送しました。
(2021、2、22)


