7895「東京砂漠2」

2021 . 1 . 28

7895

「令和ことば事情7867」で書いた「東京砂漠」の続きです。

「1964年(昭和39年)」、東京オリンピックの年は、雨が降らずに渇水で「水不足」だったと。そこから

「東京砂漠」

という言葉が生まれたということでしたので、

「それならば、当時の新聞を探してみれば、『東京砂漠』の起源がわかるのではないか?」

と思ったまま、ほったらかしになっていましたが、少し時間ができたので、会社にある、

「『読売新聞』の縮刷版」

を調べてみることにしました。

「水不足」と言えばやはり「夏」でしょうから、1964年の「7月」から、オリンピックが開催された「10月」までの縮刷版を見てみました。

「7月」「水不足」の記事は既にありましたが、「東京砂漠」の文字は見当たりませんでした。

「8月」、目次を見ると。・・・あった!1964年「8月7日」の朝刊社会面です。右タテに見出しが、

「“東京サバク”に自衛隊出動」

「“ ”」が付いた「カタカナ」の「サバク」やったんや!

サブ見出しは横書きで、

「けさ都心の断水地域へ」「各地から給水の127台」

本文の中には「東京サバク」の文字は見当たりませんでした。この頃には、東京では断水が続き、1日5時間しか、水道から水が出なかったそうです。

 

その後も、「8月11日の夕刊1面」にも、「“ ”」を付けて、

「“東京サバク”にピストン給水」

の横書きの見出しと、その下には「ポリバケツを持って並ぶ人たちの写真」が。

他の新聞でも「東京サバク」「東京砂漠」という表現を使っていたかどうかはわかりませんが、「読売新聞」は使っていたということですね。

そして「9月」も見てみたら、9月は「水不足」の記事が見当たりませんでした。その代わりに「災害」のところで出ていたのは、

「台風」

の記事。そうか、

「『台風』によって『水不足』は解消された」

のかもしれませんね。

今から57年前の記事でした。

(2021、1、28)