「令和ことば事情7867」で書いた「東京砂漠」の続きです。
「1964年(昭和39年)」、東京オリンピックの年は、雨が降らずに渇水で「水不足」だったと。そこから
「東京砂漠」
という言葉が生まれたということでしたので、
「それならば、当時の新聞を探してみれば、『東京砂漠』の起源がわかるのではないか?」
と思ったまま、ほったらかしになっていましたが、少し時間ができたので、会社にある、
「『読売新聞』の縮刷版」
を調べてみることにしました。
「水不足」と言えばやはり「夏」でしょうから、1964年の「7月」から、オリンピックが開催された「10月」までの縮刷版を見てみました。
「7月」は「水不足」の記事は既にありましたが、「東京砂漠」の文字は見当たりませんでした。
「8月」、目次を見ると。・・・あった!1964年「8月7日」の朝刊社会面です。右タテに見出しが、
「“東京サバク”に自衛隊出動」
「“ ”」が付いた「カタカナ」の「サバク」やったんや!
サブ見出しは横書きで、
「けさ都心の断水地域へ」「各地から給水の127台」
本文の中には「東京サバク」の文字は見当たりませんでした。この頃には、東京では断水が続き、1日5時間しか、水道から水が出なかったそうです。

その後も、「8月11日の夕刊1面」にも、「“ ”」を付けて、
「“東京サバク”にピストン給水」
の横書きの見出しと、その下には「ポリバケツを持って並ぶ人たちの写真」が。
他の新聞でも「東京サバク」「東京砂漠」という表現を使っていたかどうかはわかりませんが、「読売新聞」は使っていたということですね。

そして「9月」も見てみたら、9月は「水不足」の記事が見当たりませんでした。その代わりに「災害」のところで出ていたのは、
「台風」
の記事。そうか、
「『台風』によって『水不足』は解消された」
のかもしれませんね。
今から57年前の記事でした。


