7838「『鏡の』のアクセント」

2020 . 12 . 16

7838

 

「かんさい情報ネットten.」の黒木千晶アナウンサーから質問を受けました。

「『鏡』のアクセントは『尾高』なんですけど『の』が付いて『鏡の』となったときのアクセントは、どうなんでしょうか?『鏡のような』は『カ/ガ\ミノヨーナ』でしょうか?それとも『カ/ガミノヨ\ーナ』でしょうか?」

「これはね、アクセント辞典の最後の付録のところに載っているけど、『尾高アクセント』の名詞に『の』が付くと『平板化する』ことがあるんだね。なぜならば『の』が付くことによって、その後に来る名詞への『修飾句』『形容詞句』になるんだね。だからこれは『カ/ガミノヨ\ーナ』だね」

と答えて『NHK日本語発音アクセント新辞典』の該当の箇所を捜しましたが、すぐには見つかりません。

後日、捜し当てました。付録の「203~205ページ」と、「213ページの表」ですね。

「付属語不干渉」

について書かれています。つまり、

「原則的には、後ろに助詞が付いても、名詞のアクセントには変化はない」

ということなのですが、「その例外」に関する記述です。少し抜き書きをすると、

 

「の(~ノ)」が「尾高型」に付いた場合には、例外的に名詞部分の「下がり目」が消えて全体として平板型になることが多い。

(例)コメ\ +ノ(平板) =コメノ(平板)【米の】

   (「コメ\ノ」とはならない)

サシミ\ +ノ(平板)=サシミノ(平板)【刺身の】

(「サシミ\ノ」とはならない)

 

と書かれていました、ちょっと「平板」の記号が著しにくいので「平板」と書きました。

この他にもよくあるのは、

「上」

ですね。

「机の上で」

という場合のアクセントは、

「ツ/クエノウエ\デ」(「ツ/クエノ・ウ/エ\デ」)

助詞「で」の前で下がる「尾高アクセント」ですが、この助詞が「の」になって、

「机の上の本」

となったら、

「ツ/クエノウエノホ\ン」(「ツ/クエノ・ウ/エノホ\ン」)

というように「下がり目」が消えますね。

「『机の上の』『本』を修飾するための、ひとかたまりの『形容詞句』」になるから」

ですね。助詞「の」は、

「単語の接着剤のような働き」

をするのですね。

 

(2020、12、16)