「かんさい情報ネットten.」の黒木千晶アナウンサーから質問を受けました。
「『鏡』のアクセントは『尾高』なんですけど『の』が付いて『鏡の』となったときのアクセントは、どうなんでしょうか?『鏡のような』は『カ/ガ\ミノヨーナ』でしょうか?それとも『カ/ガミノヨ\ーナ』でしょうか?」
「これはね、アクセント辞典の最後の付録のところに載っているけど、『尾高アクセント』の名詞に『の』が付くと『平板化する』ことがあるんだね。なぜならば『の』が付くことによって、その後に来る名詞への『修飾句』『形容詞句』になるんだね。だからこれは『カ/ガミノヨ\ーナ』だね」
と答えて『NHK日本語発音アクセント新辞典』の該当の箇所を捜しましたが、すぐには見つかりません。
後日、捜し当てました。付録の「203~205ページ」と、「213ページの表」ですね。
「付属語不干渉」
について書かれています。つまり、
「原則的には、後ろに助詞が付いても、名詞のアクセントには変化はない」
ということなのですが、「その例外」に関する記述です。少し抜き書きをすると、
「の(~ノ)」が「尾高型」に付いた場合には、例外的に名詞部分の「下がり目」が消えて全体として平板型になることが多い。
(例)コメ\ +ノ(平板) =コメノ(平板)【米の】
(「コメ\ノ」とはならない)
サシミ\ +ノ(平板)=サシミノ(平板)【刺身の】
(「サシミ\ノ」とはならない)
と書かれていました、ちょっと「平板」の記号が著しにくいので「平板」と書きました。
この他にもよくあるのは、
「上」
ですね。
「机の上で」
という場合のアクセントは、
と助詞「で」の前で下がる「尾高アクセント」ですが、この助詞が「の」になって、
「机の上の本」
となったら、
「ツ/クエノウエノホ\ン」(「ツ/クエノ・ウ/エノホ\ン」)
というように「下がり目」が消えますね。
「『机の上の』が『本』を修飾するための、ひとかたまりの『形容詞句』」になるから」
ですね。助詞「の」は、
「単語の接着剤のような働き」
をするのですね。