<2015年7月8日に書き始めました>
「蔵王山」
の「山」は、「ザン」と濁るのか?それとも「サン」と濁らないのか?
気象庁のホームページを見ると、
「ザン」
と濁っていますが、『広辞苑』を引くと、
「サン」
と清音で濁っていないのです。
九州の「阿蘇山」も「サン」と濁りません。
<ここから2020年12月に書きました>
山形にいる後輩によると「鳥海山」は、庄内地方では、
「ザン」
と濁り、国土地理院と秋田県では、
「サン」
と濁らないそうです。
この「サン」と「ザン」の問題を考えていたら『NHK日本語発音アクセント新辞典』の巻末の「付録」(59~60ページ)に載っているのを見つけました!それによると、
*「~さん【山】」=岩木山、御嶽山、高尾山、富士山
*「~ざん【山】」=有珠山、恐山、比叡山、羊蹄山
という「例」が載っていました。これらはその通りだな。
でも「阿蘇山」も「蔵王山」も「鳥海山」も載っていないなあ・・・。
今後、逐一チェックしていかなきゃいけないなと思います。
と書いて、
「そうだ、『逆引き広辞苑』で『サン』と『ザン』を調べてみればどうだろう?」
と思いつき、やってみました。でも・・・面倒くさかった!と言うのも「サン」「ザン」で漢字が「山」とは限りませんからね。それに何といっても数が多い!
「サン」=860五
「ザン」=402語
もあったのです!その中から、
「日本の山の名前」
を抜き出しました。その結果は、
「サン」=53
「ザン」=22
ありました!「サン」のほうが多かった。そして気付いたことは、『広辞苑』に載っている「山」全体としては、
「中国の山が多い」「お寺の名前も多い」「地名もある」
ということです。また「ザン」は、
「圧倒的に、人名が多い」「一般名詞も多い」「『〇〇鉱山』『〇〇火山』も多い」
ということでした。
ここから推測するに、もともとは「ヤマ」と和語で読んでいたが、仏教と共に中国・朝鮮半島から呉音で「セン」が入って来て「山そのものが仏」として「セン」で呼ばれ、それが「山岳仏教」となって、
「お寺の名前=山の名前」
になり、その後は漢音で「サン」となり、それが日本の「山」の名前に付けられたことによって「連濁」するようになって「ザン」と濁るようになったのではないでしょうか?
では、日本の「サン」「ザン」を抜き書きしていきますね。
【サン】53
会津磐梯山
四阿(あずまや)山
阿蘇山
愛宕山
石鎚山
岩木山
岩手山
恵(え)山
恵那山
黄檗山
月山
葛城山
金峰(きんぷ)山
高野山
金剛山
蔵王山
三瓶(さんべ)山
信貴山
至仏山
白根山
皇海(すかい)山
脊振(せふり)山
船上山
祖母山
醍醐(だいご)山
高尾山
鳥海山
筑波山
剣山
鉄枴(てっかい)山
苗場山
成相(なりあい)山
二上(にじょう)山
日光山
白山
羽黒山
八海山
八甲田山
早池峰(はやちね)山
榛名(はるな)山
磐梯山
英彦(ひこ)山
武夷(ぶい)山
武甲(ぶこう)山
富士山
二荒(ふたら)山
鳳来寺山
摩耶山
身延(みのぶ)山
妙義山
湯殿山
両神(りょうかみ)山
六甲山
【ザン】22
有王(ありおう)山
有(うす)珠山
大台ケ原山
恐山
鹿野(かの)山
久能(くのう)山
金華山
庚申(こうしん)山
七面山
昭和新山
瑞流(ずいりゅう)山
大雪(たいせつ)山
天王山
天保山
天目山
比叡山
宝永山
妙見山
妙高山
羊蹄山
利尻山
鷲羽山
あとは「セン」と「ヤマ」と「ダケ」がありますが、また今度。疲れた!!


