7831「入れっぱ」

2020 . 12 . 11

7831

 

12月11日、テレビを見ていたら「リプトンの紅茶」のコマーシャルで、

「入れっぱなのに、ずっと、おいしい」

という声と共に文字が出てきました。

「入れっぱ」=「入れっぱなし」

ですね。「入れ歯」をかわいらしく言ったわけではありません。

これまでにもこの言葉を聞いたことはありましたが「若者言葉」「俗語」だと思っていましたが、CMで使われるほど普及してしまったようです・・・。

同様の、

「出しっぱ」「借りっぱ」

などの、

「~っぱ」

という形は、私は使いませんが、もうすごくよく見聞きします。応用が簡単だし、言葉が短くなるという利点があるのでしょう。過去にも書いたはずです。検索してみましょう。

 

・・・ありました。「2002年」に書いていました、

 

「平成ことば事情699入れっぱ」(2002年6月1日)

 

です。そこには「東京出版サービスセンター」というところがネット上で出している「流行語予報(JUNK  WORDS)」の「2000年8月号」で、

「置きっぱ」「出しっぱ」

が、また「2001年4月号」には、

「やりっぱ」「行きっぱ」「狂いっぱ」「話しっぱ」「笑いっぱ」「おかしっぱ」「いじめっぱ」

などが載っていて、意味は、

「やり放しでフォローがないというよりも、テンションがガガッといきっぱなしなことです。」

と書いてあったようです。もう「20年の歴史」があるのですね・・・。

その時と、後の「追記」で「2006年6月15日」にグーグル検索しています。そのころと現在の検索数を比べて見ましょう

     【2002年】→【2006年】 → 【2020年】

「入れっぱ」= 112件 → 1万3700件→  9万5400件

「出しっぱ」=  69件 → 1万2800件→  4万1100件

「置きっぱ」=  91件 → 3万1900件 →10万5000件

「ぬぎっぱ」=  ***       87件 →   4760件 

「脱ぎっぱ」=  ***      144件 → 2万0100件

 

という結果でした。2002年の「2ケタ」や「3ケタ」の検索件数が懐かしい。

もう、国語辞典に載っているのでしょうか?

去年(2019年に)出た『大辞林・第4版』には、

「出しっぱなし」「置きっぱなし」

は載っていましたが、

「入れっぱなし」「脱ぎっぱなし」

「入れっぱ」「出しっぱ」「置きっぱ」「脱ぎっぱ」「~っぱ」

は載っていませんでした。

 

20年前には「マイナスイメージ」のあった「~っぱ」が、普通の言葉として定着して、紅茶のティーバッグを、

「『入れっぱ』でもおいしい」

というように、

「便利=プラスイメージ」

に、変化してきたと言えるのではないでしょうかね。

もう、「流行語辞典」や「俗語辞典」ではなく、「普通の国語辞典」に載ってもいい言葉なのかもしれませんね。

あ、先月(11月に)出た『新明解国語辞典・第8版』には載っているかな?

家に帰ったら調べてみよう!

 

と、こう書いている間にも、このCMが流れて来ました。

 

(2020、12、11)