7845「身動きが取れない」

2020 . 12 . 21

7845

 

12月18日の「ミヤネ屋」で、テロップチェックをしてくださっている元読売新聞・校閲部のNさんから

「きょうのミヤネ屋のオープニングで『身動きが取れない』『身動き取れず』とあって、『何かおかしいな』と感じたものの、そのまま放送に出ました。違和感の原因は、『身動きが取れない』というのは『動きが取れない』と『身動きできない』が交ざった言い方だったからです。“間違い”というほどのものではないと思いますが…。」

とメールが来ました。

なるほど言われてみれば、そうですね。でも、言われるまで気付かない程度かなあと。

一応「国語辞典」で「身動き」を調べてみました。その結果、

『広辞苑・第7版』『三省堂国語辞典・第7版』

には載っていませんでしたが、去年9月に出た、

『大辞林・第4版』

と去年11月に出た、

『岩波国語辞典・第8版』

先月、9年ぶりの改訂版が出た、

『新明解国語辞典・第8版』

と、今月改訂版が出た、

『明鏡国語辞典・第3版』

には、

「身動きが取れない」

が載っていました。

『精選版日本国語大辞典』

にも、谷崎潤一郎『蓼食ふ虫』(192829)から、

 

「妻の立場を庇ってやらなければ、結局夫婦は身動きが取れなくなる」

 

という用例が載っていました。ずいぶん昔から「身動きが取れない」は使われていたんだ。しかも「大谷崎」が!

私は『新明解』の「7版」と「8版」で変わっているのに注目しました。

こういった、普段は気付かないところから少しずつ、言葉は・国語辞典変わってきているんですね。

 

(2020、12、21)