『新明解国語辞典・第八版』(山田忠雄、倉持保男、上野善道、山田明雄、井島正博、笹原宏之、三省堂:2020、11、20)

2020 . 12 . 16

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11月19日、9年ぶりに改訂版(第8版)が出た『新明解国語辞典』。

絶対買うぞ!と思っていたら、その1週間ほど前に三省堂の方から、

「贈呈いたしますので、送り先を」

というダイレクトメールが届き、「やったー」と喜んで「送り先」を返信したけど、発売日を過ぎても届かない。おかしいな、でもあんまり催促しても…と思ったけど、発売日から1週間過ぎても届かない。

「もしかして、こちらのメールが届いていないかも…」

と送り直したところ、やはり届いていませんでした。こういうこともあるんですね。すぐに送って来てくれました。ありがとうございます!

早速、いくつか気になる言葉を引いてみました。

実はこの「新解さん」は「第6版」のときに、2か月ぐらい掛けて「1620ぺージ」を読破したことがありますが、今回ページ数を見たら「1741ページ」、あれから100ページ以上も増えているんですね!

早速「恋愛」の項目を見て、なるほど「LGBT対応」が、最小の変更できっちり表されているなと思いました。というのは、「第7版」では、

「特定の異性に対して」

となっていた冒頭部分が、

「特定の相手に対して」

と、「性別を問わない形」になっているのです。最小の変更で、大きな方向転換です。これは素晴らしい!

“コロナ対応”では、「第8版」に「パンデミック」「クラスター」も載っているなと思って、一応「第7版」を見ると、何ともう「第7版」に載っていたのですね!

みのもんたさんが「パーキンソン病」の闘病をしていたというニュースを「ミヤネ屋」で取り上げたのですが、その際に出て来た言葉が、

「ドパミン」

え?「ドーパミン」では?と思って国語辞典を引くと、去年秋に出た「大辞林」(第4版)を含め、やはりほとんど「ドーパミン」しか載っていませんでしたが、『新明解国語辞典』(第8版)は、見出しは「ドーパミン」だけですが、語釈の中に、「第7版」にはなかった「ドパミンとも」が加えられていました!さすがです。

厚労省のサイトなど医学関係では「ドパミン」なのですね。

『岩波国語辞典』(第8版)も語釈の中に「ドパミン」がありました。『三省堂現代新国語辞典』は「なし」でした。

そうそう、「日本語の的確な使用のために」というタイトルの「第8版」の序文を読むと、第7版の編集主幹だった倉持保男先生が2018年の8月にお亡くなりになり、その後を上野(うわの)善道先生が引き継がれたと。上野先生のご専門は「アクセント」だと、以前聞いたことがある。『新明解国語辞典』の特長のひとつは、

「見出し語に洋数字で、アクセントが記されていること」

だ。その数「9万語超」。2016年に出たNHKの「日本語発音アクセント新辞典」が「7万5000語」ですから、それよりも多いのです。これはアナウンサーにとっては活用しない手はありません。しかし、意外と知らない人が多いのではないでしょうかね。

今回、上野先生は紙幅と時間の許す限りアクセント情報を補ったそうですから、これは期待できます。

また、この「まえがき」は「2020年6月1日」に書かれていますが、当然「新型コロナウイルス」による「緊急事態宣言」の影響を受けていますから、その関連の言葉も収録されており、「第7版」にはなかった「ロックダウン」も入っていました。

「最新」で、しかも「その守備範囲が広がった」ということが言えるのではないでしょうか。さあ、活用するぞ!

 

 

(2020、11、26届きました)