7833「所期の目的」

2020 . 12 . 11

7833

 

12月9日、衆議院厚生労働委員会で、政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長が「GoToトラベル」について、改めて「一時停止するのが望ましい」という考えを示しました。尾身会長は、

「今は早く感染を下火にして、下火になってからじっくりとまた再開すれば、『ショキの目的』に合致するのではないかと個人的には思っています」

と答弁しました。この、

「ショキの目的」

という言葉、他局のニュース番組の中のフリップに、

「所期の目的」

と書いてあったものを、男性キャスターが、

「『所期の目的』の『所』は間違っていますね」

と指摘したところ、フロアのスタッフに本番中に諫められるシーンがあったそうです。(私は見ていないのですが、知り合いが見て、そう言っていました。)

恐らくその男性キャスターは、

「『初期』の目的」

だと思ったのでしょう。しかしこれは、

「『所期』の目的が正しい」

のです。

それぞれの意味と使い分けは、日本新聞協会新聞用語懇談会編の『新聞用語集2007年版』に、こう載っています。

「初期」=初めの時期(例)初期の段階

「所期」=期待すること(例)所期の目的を達成

ほぼ「常とう句」のように「所期の目的」は出て来ます。

実はこの日の「ミヤネ屋」でも、この尾身会長の発言を取り上げましたが、その際に発注されたスーパーは、

「『初期』の目的」

になっていたので、「危ない、危ない」と思いながら、ちゃんと、

「『所期』の目的」

に直して放送しました。

 

 

(2020、12、10)