11月19日の日本テレビ「スッキリ」を見ていたら、新型コロナウイルスの「第3波」が来たか?ということで、このところの急激な感染者増加のニュースを取り上げていました。その中で、コメンテーターのモーリー・ロバートソンさんが、
「低止まり」(ひくどまり)
という言葉を使ったのが耳に止まりました。(耳止まり?)
数値が高い所で「高原状」になるのを指して、
「高止まり」
は聞きますが、その逆を指して「低止まり」というのは、初めて聞きました。
グーグル検索では(11月19日)
「低止まり」= 7420件
「高止まり」=65万4000件
でした。それで数は少ないものの出て来た「低止まり」は、実は、
「建築業界の用語」
のようなのです。例えば、
「既製コンクリート杭の高止まり、低止まりに備えよう」
「H形鋼杭が高止まり・低止まりした場合はどうする」
などと出て来るのです。でも「数値」が低く長引くことを指すのではないようです。
「『言葉』としては存在するが『意味』が違う」
ようですね。
一方の「高止まり」も、「建築用語」としては国語辞典に載っていないようなのです。
「建築用語」の「高止まり」の意味は、ネットのサイトによると、
「高止まり(たかどまり)とは、打設した杭の天端が、設計時の杭天端より高くなることです。支持層に起伏がある場合、高止まりが生じやすいです。高止まりが生じた杭は、杭頭をカットして設計時の天端に合わせるのが一般的です。」
http://kentiku-kouzou.jp/kisokouzou-takadomari.html
と載っていました。
そして、面白いことを見つけました。
『広辞苑』の「高止まり」は、
「ある数値が高い値のまま変わらないこと」
という、私も同じようにそう考えた意味しか載っていません。
また、『三省堂国語辞典』も、
「(金利や物価が)高い状態でとどまっていること(動詞)高止まる」
と載っていました。「動詞形」も載せたところに、独自性があります。
去年秋に出た、私が持っている国語辞典の中では一番新しい『大辞林』(第4版)にも載っていました。
「金利や物価が、高い状態でとどまっていること。高値安定。」
この「高値安定」というたった「4文字」の説明(置き換え?)は、短くて分かりやすいですね。
一方『精選版日本国語大辞典』は、
「お高くとまること。尊大に構えること」
という、他の3つの辞書とは異なる意味しか載せていないのです。
また、『デジタル大辞泉』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典(第7版)』『旺文社標準国語辞典』『岩波国語辞典』『三省堂現代新国語辞典』『新選国語辞典』『現代国語例解辞典』『新潮現代国語辞典』には「たかどまり」の「見出し」が載っていませんでした。
いずれにせよ「建築用語」の「高止まり」「低止まり」は、「国語辞典」には載っていないようです。


