10月23日は、
「この頃になると霜が降りる」
と言われる、「二十四節気」の「霜降(そうこう)」でした。
この日に、神戸の「お山の小学校」としいて知られる「六甲山小学校」で、恒例の
「ストーブの火入れ式」
が行われたというニュースが、関西の各テレビ局で流れました。
六甲山小学校は「標高795メートル」の所にあるので、平地の市街地よりもずっと寒いんですよね。「ストーブの火入れ式」は、もうまさに“季節の風物詩”となっています。
子どもたちは、「マイギリ式」と呼ばれる火おこし方法、つまり、
「錐(きり)のような木の棒を両手で擦って回し、板との摩擦で火をおこす」
という昔ながらの方法で火をおこし、その種火をストーブに移すのですね。
読売テレビの「関西ローカルニュース」の表現は、そうでした。
例年は、息を吹きかけて風を送り火種の火を大きくするのですが、今年は「新型コロナウイルス」の感染拡大を警戒して、飛沫が飛ばないようにサッカーボール用の「空気入れ」を使って空気を送り込んでしました。
さてこの、
「昔ながらの方法」
という表現に、ことし私は引っかかってしまいました。30数年間、一度も気にならなかった表現なのですが、この、
「『昔ながらの方法』の『昔』って、一体いつなの?」
と思ったのです。だってこれは、
「原始時代の火のおこし方」
なのではないでしょうか?江戸時代でもこんなことは、やってなかったのでは?
「昔」過ぎませんか?
NHKでは、
「伝統的な火おこし方法に挑戦」
という表現でした。これならまあ納得ですね。各社のネット記事で見てみたら、
(読売テレビ)木の板と棒をすり合わせる昔ながらの方法で火種をおこす
(MBS)火起こし器で種火を起こします
(ABCテレビ)摩擦で火を起こす昔ながらの「火起こし器」を使い
(関西テレビ)昔ながらの道具を使って火をおこしました
(サンテレビ)昔ながらの方法での火おこしに挑戦
でした。「昔ながら」を使っていたのは「NHKとMBS以外」で、それが「方法」にかかったのが読売テレビとサンテレビ、「火起こし器」にかかったのが「ABC」、「道具」にかかったのが「関西テレビ」でした。
MBSとABCは「火を起こす」を漢字を使っていましたが、それ以外の社は「おこす」と平仮名でした。『新聞用語集』では、「火をおこす」の漢字表記は、
「熾す」
ですが、これが「表外字」なので「平仮名」で書くようにとなっていました。
新聞各社はどうか。「昔ながら」と「火おこし」の表記に注目しました。
(読売)「木の棒と板を懸命に擦り合わせ、火をおこすのに成功すると」:おこし
(朝日)「昔ながらの薪(まき)ストーブに火を入れ」
「木の棒と板をすり合わせ、約1時間かけて火をおこした。」:おこし
(毎日)「木の棒と板をこすり合わせて火をおこし」:おこし
(産経)「木の棒と板を懸命に擦り合わせ、火をおこすのに成功」:おこす
(日経)「『まいぎり式火おこし器』という木の道具を使って火おこしに挑戦:おこし
(神戸)「木の棒と板をこすり合わせる種火おこしに挑戦」:火おこし
ということで、「火をおこす」は新聞各社「平仮名」で「おこす」でしたね。
また「昔ながらの」は「朝日新聞」だけが使っていましたが、その言葉が修飾しているのは、「火おこし」「火おこしの道具」ではなく、
「薪ストーブ」
でした!それなら「昔ながら」でも合うような気がします。
でも「木の棒と板をすり合わせる」火おこしは、いつ頃まで行われていたのだろう?江戸時代・戦国時代は「火打ち石」?


