7728「来月分のアクセント」

2020 . 10 . 6

7728

 

9月10日の読売テレビのお昼のニュースで、大阪市が新型コロナウイルスの影響で水道代の支払いが滞る人たちに、

「来月分から来年3月分までの水道料金を免除する」

ことにしたというニュースを放送していました。その、

「来月分から」「3月分まで」

のアクセントを、2年目の佐藤佳奈アナウンサーが、

「ラ/イゲツ\ブンカラ」「サ/ンガツ\ブンマデ」

と読んでいるのが気になりました。これは「平板アクセント」で、

「ラ/イゲツブンカラ」「サ/ンガツブンマ\デ」

ではないか?と。

ところが!

『NHK日本語発音アクセント新辞典』巻末の「複合語のアクセント」で、

「○○分」

を引いてみると、

「○○\ブン」

となっているではないですか!私が間違っていたか・・・・。

いや、ちょっと待てよ。

もしかしたらこれは、アレかもしれない。

「時制」関連の、

「きのう」「おととい」

は、「名詞」としてとらえると、アクセントは、「中高アクセント」で、

「キ/ノ\―」「オ/トト\イ」

なのですが、「副詞」として使われる場合のアクセントは「平板アクセント」になって、

「キ/ノー」「オ/トトイ」

となるのです。

なぜならば、「副詞」として使われる場合は、そこで話が止まるのではなく、

「きのう(おととい)○○した」

と、後ろに来る「動詞」につなげなくてはならないから。

一方「名詞」は「体言止め」にもできるので「中高アクセン」。

具体例でみると、

「学校へ行ったのは、きのう」(名詞)=中高アクセント=「キ/ノ\ー」

「きのう、学校へ行った」=(副詞=「行った」に係る)=平板アクセント=「キ/ノー」

ということです。

それと同じく、「来月分から」の「来月分」を「名詞」でとらえると(それが本来ですが)、「中高アクセント」で、

「ラ/イゲツ\ブンカラ」「サ/ンガツ\ブンマデ」

と「ブン(分)」の前で下がるアクセントになりますが、「来月分から支給される」という文脈の「来月分から」を「副詞的」に解釈すると、

「ラ/イゲツブンカラ」「サ/ンガツブンマ\デ」

となるアクセント(イントネーション)もあり得るのではないか?と思いました。

どうなんだろうか?

 

(2020、10、5)