ちあきなおみさんは、歌がものすごく上手い。
先日もフェイスブックで、
「ちあきなおみは、美空ひばりより上手いかもしれない」
という話が出た。ちあきさんは、その美空ひばりさんの歌マネがものすごく上手く、ひばりさん本人も、それを認めていたという。
どうしてもあの、レコード大賞を取った「喝采」のイメージがあるけど、歌謡曲や演歌だけではなく、ロックやフォークやブギウギ、ポルトガルの「ファド」までも歌ったのだそうだ。つまり、ジャンルにとらわれない「ディーヴァ=歌姫」である。
そんなちあきさん、いつの頃からか、人前に出なくなった。
著者は、ちあきさんが歌っていた最後の1年と、その後7年の約8年間、ちあきさんのマネージャー・運転手などを務めた人だそうだ。
なぜ「今」この本を書いたのか?はわからないが、
「ちあきさんが、なぜ歌わなくなってしまったのか?」
を書き残しておきたいと強く思ったのだろうか。
「なぜ歌わなくなったか」の理由を簡潔に言うと、
「公私共のパートナーであった郷(ごう)鍈治(えいじ)さんの死去」
がきっかけなのは、間違いないだろう、
「ちあきさんは、郷さんのために歌っていた」
ということのようだ。郷さんは、「宍戸錠さんの実弟」である。その宍戸錠さんも、今年亡くなり、ちあきさんの周囲の人たちが、もうかなり亡くなってしまったというのも、この本を書いた動機かもしれない。実際、この本を読んでいる最中に、ちょうど本の中に出て来たミュージカル俳優の藤木孝さんが亡くなった。何という巡り合わせ・・・と思った。
この本は、
「歌手・ちあきなおみが生きた時代へのレクイエム」
と言えるかもしれない。
(2020、9、21読了)


