『ちあきなおみ 沈黙の理由』(古賀慎一郎、新潮社:2020、8、25)

2020 . 9 . 25

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ちあきなおみさんは、歌がものすごく上手い。

先日もフェイスブックで、

「ちあきなおみは、美空ひばりより上手いかもしれない」

という話が出た。ちあきさんは、その美空ひばりさんの歌マネがものすごく上手く、ひばりさん本人も、それを認めていたという。

どうしてもあの、レコード大賞を取った「喝采」のイメージがあるけど、歌謡曲や演歌だけではなく、ロックやフォークやブギウギ、ポルトガルの「ファド」までも歌ったのだそうだ。つまり、ジャンルにとらわれない「ディーヴァ=歌姫」である。

そんなちあきさん、いつの頃からか、人前に出なくなった。

著者は、ちあきさんが歌っていた最後の1年と、その後7年の約8年間、ちあきさんのマネージャー・運転手などを務めた人だそうだ。

なぜ「今」この本を書いたのか?はわからないが、

「ちあきさんが、なぜ歌わなくなってしまったのか?」

を書き残しておきたいと強く思ったのだろうか。

「なぜ歌わなくなったか」の理由を簡潔に言うと、

「公私共のパートナーであった郷(ごう)鍈治(えいじ)さんの死去」

がきっかけなのは、間違いないだろう、

「ちあきさんは、郷さんのために歌っていた」

ということのようだ。郷さんは、「宍戸錠さんの実弟」である。その宍戸錠さんも、今年亡くなり、ちあきさんの周囲の人たちが、もうかなり亡くなってしまったというのも、この本を書いた動機かもしれない。実際、この本を読んでいる最中に、ちょうど本の中に出て来たミュージカル俳優の藤木孝さんが亡くなった。何という巡り合わせ・・・と思った。

この本は、

「歌手・ちあきなおみが生きた時代へのレクイエム」

と言えるかもしれない。

 

 

(2020、9、21読了)