7711「麦焼酎と芋焼酎」

2020 . 9 . 30

7711

元TOKIOの山口達也さんが、バイクの酒気帯び運転で逮捕された事件で、山口さんは、

「麦焼酎を7~8杯飲んだ」

と供述していると報じられました。

9月25日の「ミヤネ屋」で、その部分の吹き替えをY君が担当して「麦焼酎」を、

「麦じょうちゅう」

と「濁って」読みました。原稿のナレーション部分はナレーターの鹿瀬さんは、

「麦しょうちゅう」

と「濁らずに」読みました。私の語感でもやはり「麦」は、

「麦しょうちゅう」

と「濁らない」と思いました。他の原料の「焼酎」はどうか?例えば、

「芋焼酎」

の場合は、

「芋じょうちゅう」

と必ず「濁り」ますし、それは国語辞典にも載っています。「米」も、

「米じょうちゅう」

と濁るでしょう。

実際に、9月26日にFMを聞いていたら、熊本出身の放送作家・小山薫堂さんが、

「豪雨被害の熊本を応援するために、最近は毎晩、熊本の米焼酎を飲んでいる」

と話していました。その際に「米焼酎」は、

「米じょうちゅう」

と濁っていました。

なぜ「麦」は濁らないか・・・・あ!そうか、「麦」は、

「ムギ」

と、

「『ギ』で『すでに濁っている』から、複合語でくっつく『後部単語の語頭』は濁らない」

のですね!ほかの原料で、

「黒糖焼酎」「蕎麦焼酎」

がありますが、それぞれ、

「黒糖じょうちゅう」「蕎麦(そばしょうちゅう)

なのではないでしょうか?

「蕎麦(そば)」

も、後ろが「ば」と「濁る」ので、「焼酎」は「しょうちゅう」と「濁らない」のではないかなと思います。

解決!!

なお、「芋じょうちゅう」は「濁る」と言っても、

「どぶろく」

にはなりません、「焼酎」は、

「蒸留酒」

ですからね・・・あ、そうか!

「『麦しょうちゅう』は、『蒸留酒』だから濁らない」

というのも「居酒屋での答えなら正解」かもしれないか!

でも「芋じょうちゅう」の立場は、どうなる?

 

とここで、もう一つ問題が。『精選版日本国語大辞典』で「芋焼酎」を引いたら「芋じょうちゅう」と濁る見出しで出ているのに、その用例は、

「イモ焼酎(セウチウ)」

という「歴史的仮名遣い」のルビで、しかも「濁っていない」のです。

これ、「濁って歴史的仮名遣い」だと、「セウチウ」の「セ」が濁って、

「ゼウチウ」

となるのか?それとも、「シャウチウ」を濁らせて、

「ジャウチウ」

となるのか?そもそも、同じく「ショーチュー」と発音する、

「焼酎」=「セウチウ」

なのに、

「掌中」=「シャウチウ」

なのだと、元読売新聞校閲部の中村さんが教えてくれました。

ということは、今は同じく「ショウ」と発音しているが、昔は発音も違ったのかな?だから表記も違ったのか?

2通り表記がある「歴史的仮名遣い」と言えば、有名な

「駒形どぜう」

がありますね。この「どぜう」は「間違い」で、正しくは、

「どじゃう」

だと聞いたことがあります。

「どぢゃう」

かもしれない。

さきほどの元読売新聞校閲部の中村さんによると、

「実は、江戸時代にも『どぜう』という表記もあった」

んだそうです。

あ、そうか、正しくは「どじゃう」でも、それだと目立たないからあえて「どぜう」にしたのかもしれませんね。ほら、

「ラーメン」

が正しい表記だけれど、それだと目立たないので、

「らあめん」「らうめん」「らーめん」

「らあ麺」「らう麺」「らー麺」「拉麺」「ラー麺」

といった表記があるではないですか!あれと同じかもしれませんね。

いろいろ勉強になりました!

 

(2020、9、28)