『囲碁はなぜ交点に石を置くのか~囲碁学への招待』(永松憲一、新風舎:2002、8、1)

2020 . 8 . 3

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実は、新聞に載っている囲碁と将棋の「大盤解説」などで使われる「盤面」に振られた数字の向きが、

*「将棋」=右上が起点で、左横へ向かって「洋数字」、右下へ向かって「漢数字」

*「囲碁」=左上が起点で、右横へ向かって「洋数字」、左下へ向かって「漢数字」

であるということに気付いたのです。

それで、それぞれのゲームの起源は共に「中国」?と思ったときに、もう20年近く前に買ってそのままになっていたこの本のことを思い出して、本棚から引っ張り出して来たというわけです。感想は、この本の帯に書かれた「本のソムリエ」こと井狩春男さんのコメントが、感想としては「まさに、そのとおり」と思いました。それは、

「囲碁の本なのに、西遊記や易、はたまたピタゴラス、パスカル、フロイト、ユングまで出て来るのだ。こんなの初めて読んだぞ!」

ということですね。ちょっとびっくり。言語学のソシュールも出て来ました。とっても難しい所は飛ばし読みしながら、それでも囲碁に隠された思想、真理の一端を垣間見ることができて、まさに「目からウロコ」の一冊ですね。それにしても「西遊記」が「囲碁」とつながるとは思ってもいなかった視点です。

それで、「タイトル」にもなった疑問、「なぜ囲碁は交点に石を置くのか?」に対する答えは48ページから書かれています。それによると、「易(えき)」と関係すると。占いの易者の「易」ですね。縦線は「肯定・統一・無限」を表し、横線は「具体化・現実化」を表すと。そしてこの十字が「才」の原義だそうです。また「存」「在」という文字はこの「才」に「子(=「生命・時」を意味する)」と「土(=「場」を意味する)」を会意させた文字だそうです。「存在」は「時」と共にあり、「場」と共にあると、どんどん話が広がります。何という博識。「経緯」ともつながりますね。「経=縦糸」「緯=横糸」。

また、中国では「3才」という言葉があり、この「3」は「天・地・人」を指すと。そして盤上の中央の十字は、縦線を「天=1」、横線を「地=2」、中央を天と地を結ぶ点は「人(ジン)=3」で、「交点」に石を置くのは「人」という「場・空間」に石を置くということを意味するのだそうです・・・わかったような、わからないような、ですが。

ついでに、「天(1)+地(2)+人(3)」=「6合」と呼ぶそうです。あ、そうか、

「六合」

と書いて、

「くに」

と読む地名は,そこからきていたのか!「リクゴウ」とも読みますが。

なかなか知的な刺激たっぷりの一冊でした!

 

(2020、7、11読了)