7625「『ボウガン』か?『ボーガン』か?3」

2020 . 8 . 5

7625

 

6月4日、兵庫・宝塚市で起きたボウガン殺人事件。凶器となった「ボウガン」。

元々「特定商品名」だったので、一般名詞の、

「クロスボウ」

を使っていましたが、

「2008年から『特定商品名』ではなくなった」

ので、

「ボウガン」

も使われるようになりました。その際の表記は、

「ボウガン」「ボーガン」

の2通りあります。きょう(6月4日)、テレビ各社の放送を見ていたら、

(ytv)ボウガン

(MBS)ボーガン

(ABC)ボーガン

(KTV)ボーガン

(NHK)ボーガン

で、NNN系列だけ「ボウガン」。夕刊各紙は、

(読売)ホウガン

(朝日)ボーガン

(毎日)ボーガン

(産経)ボーガン

(日経)ボーガン

で、「読売新聞」だけ「ボウガン」でした。

なお、2015年5月に、男性が矢で撃たれたというニュースでは、

(NHK)「クロスボウ」「ボーガン」両方出ている。

(TBS)最初は「洋弓銃」、2008年から「洋弓銃・ボウガン」、その後「いわゆる弓型の銃・ボウガン」そして「ボウガン」。

(NTV)「クロスボウ」

(テレビ朝日)過去5年の原稿では「クロスボウ」と「ボウガン」が拮抗しているが、少し「クロスボウ」が多い。

(テレビ東京)過去10年の原稿は「ボーガン」で統一されている。

(共同通信)「ボーガン」にしている。「クロスボウ」は出て来ない。2006年の「記者ハンドブック第10版」では「×ボーガン→○洋弓銃」としていたが、「ボウガン」が特定商品名ではなくなったので「ボーガン」に直した。

(ytv)日テレに倣って「クロスボウ」。2010年に奈良公園で、シカが矢で撃たれたときも「クロスボウ」だった。なお日本語表記だと「洋弓」ではなく「石弓」だ。「ウィリアム・テル」が使ったとされる物と同じ形。

(読売新聞)以前は「クロスボウ」。今は「ボウガン」も使うようになって、どちらも使っている。「クロスボウのような“矢”で撃たれた」という表現があったが、これは「矢」ではなく「弓」だろう(刺さったのは「矢」)。

 

その3か月後、2015年8月に愛知・武豊町で新聞配達の男性が黒の目出し帽を被った男に「ボウガンのようなもので撃たれた」と証言した事件では、日本テレビ(読売テレビ・「ミヤネ屋」)では、

「ボウガン」

と表記しました。テレビ朝日も、

「ボウガン」

でした。新聞(2015年8月13日付)を見てみると、

(読売新聞)ボウガン

(毎日新聞)ボーガン(洋弓銃)

(産経新聞)ボーガン

(スポーツ報知)ボーガン

(スポニチ)ボーガン

(日刊スポーツ)ボーガン

でした。

日本テレビは、5月は「クロスボウ」でしたが、3か月たったら「ボウガン」。

たぶん「どちらでも可」で、今回は被害に遭った男性が「ボウガン」と言っていた(警察発表だと思いますが。中京テレビの取材)ので、それに従ったのだと思います。

 

と記していました。

 

「平成ことば事情3931『ボウガン』か?『ボーガン』か?」「平成ことば事情5837『ボウガン』か?『ボーガン』か?2」もお読みください。

 

 

(2020、8、4)

(追記)

12月17日のテレビ朝日のお昼のニュースは、

「クロスボウ」

で、以前「ボウガン」だったのに、やはり両方使っているようです。

夕刊各紙は前回調べた時と同じく「読売」が「ホウガン」である以外は「朝日・毎日・産経・日経」は「ボーガン」でした。

(2020、12、17)