6月4日、兵庫・宝塚市で起きたボウガン殺人事件。凶器となった「ボウガン」。
元々「特定商品名」だったので、一般名詞の、
「クロスボウ」
を使っていましたが、
「2008年から『特定商品名』ではなくなった」
ので、
「ボウガン」
も使われるようになりました。その際の表記は、
「ボウガン」「ボーガン」
の2通りあります。きょう(6月4日)、テレビ各社の放送を見ていたら、
(ytv)ボウガン
(MBS)ボーガン
(ABC)ボーガン
(KTV)ボーガン
(NHK)ボーガン
で、NNN系列だけ「ボウガン」。夕刊各紙は、
(読売)ホウガン
(朝日)ボーガン
(毎日)ボーガン
(産経)ボーガン
(日経)ボーガン
で、「読売新聞」だけ「ボウガン」でした。
なお、2015年5月に、男性が矢で撃たれたというニュースでは、
(NHK)「クロスボウ」「ボーガン」両方出ている。
(TBS)最初は「洋弓銃」、2008年から「洋弓銃・ボウガン」、その後「いわゆる弓型の銃・ボウガン」そして「ボウガン」。
(NTV)「クロスボウ」
(テレビ朝日)過去5年の原稿では「クロスボウ」と「ボウガン」が拮抗しているが、少し「クロスボウ」が多い。
(テレビ東京)過去10年の原稿は「ボーガン」で統一されている。
(共同通信)「ボーガン」にしている。「クロスボウ」は出て来ない。2006年の「記者ハンドブック第10版」では「×ボーガン→○洋弓銃」としていたが、「ボウガン」が特定商品名ではなくなったので「ボーガン」に直した。
(ytv)日テレに倣って「クロスボウ」。2010年に奈良公園で、シカが矢で撃たれたときも「クロスボウ」だった。なお日本語表記だと「洋弓」ではなく「石弓」だ。「ウィリアム・テル」が使ったとされる物と同じ形。
(読売新聞)以前は「クロスボウ」。今は「ボウガン」も使うようになって、どちらも使っている。「クロスボウのような“矢”で撃たれた」という表現があったが、これは「矢」ではなく「弓」だろう(刺さったのは「矢」)。
その3か月後、2015年8月に愛知・武豊町で新聞配達の男性が黒の目出し帽を被った男に「ボウガンのようなもので撃たれた」と証言した事件では、日本テレビ(読売テレビ・「ミヤネ屋」)では、
「ボウガン」
と表記しました。テレビ朝日も、
「ボウガン」
でした。新聞(2015年8月13日付)を見てみると、
(読売新聞)ボウガン
(毎日新聞)ボーガン(洋弓銃)
(産経新聞)ボーガン
(スポーツ報知)ボーガン
(スポニチ)ボーガン
(日刊スポーツ)ボーガン
でした。
日本テレビは、5月は「クロスボウ」でしたが、3か月たったら「ボウガン」。
たぶん「どちらでも可」で、今回は被害に遭った男性が「ボウガン」と言っていた(警察発表だと思いますが。中京テレビの取材)ので、それに従ったのだと思います。
と記していました。
「平成ことば事情3931『ボウガン』か?『ボーガン』か?」「平成ことば事情5837『ボウガン』か?『ボーガン』か?2」もお読みください。



(追記)
12月17日のテレビ朝日のお昼のニュースは、
「クロスボウ」
で、以前「ボウガン」だったのに、やはり両方使っているようです。
夕刊各紙は前回調べた時と同じく「読売」が「ホウガン」である以外は「朝日・毎日・産経・日経」は「ボーガン」でした。
(2020、12、17)