『感染症の中国史~公衆衛生と東アジア』(飯島渉、中公新書:2009、12、20第1刷・2020、4、25第5刷)

2020 . 7 . 30

2020_086

 

帯には、

「“中国発パンデミック”は今に始まったことではない」

と記されている。奥付を見ると、

2009、12、20第1刷

2020、 4、25第5刷

とあるので、これも「新型インフルエンザ」流行時に出た本が、また今回の「新型コロナウイルス」の流行で再版されている。「古典」になりつつあるのか。

ペスト=中国・雲南省起源

コレラ=インド起源

マラリア=熱帯地方起源

日本住血吸虫病=日本・山梨甲府盆地&九州地区語川流域

など、アジア発祥の「感染症」も多い。

「三国志」の「赤壁の戦い」で魏の水軍を苦しめたのも「日本住血吸虫病」だという説もあるそうです。へー。

また、富士川游(ふじかわ・ゆう)著『日本疾病史』には、

「疫病の学は、すなわち、人類文化の歴史と密着して、互いに相離るべからざるものなり」

という名言もあるそうです。

「日清戦争」が勃発した1894年には、ペストがパンデミックを起こしていたそうです。

そういえば「スペイン風邪」が流行った1918年は「第一次世界大戦」の終戦の年。「戦争」、特にグローバル化した戦争による移動、「軍隊」という密集した団体行動、普段は入って行かないような地域への侵入・進入というように、「戦争と感染症の流行」は関連がありそうです。グローバル化の「負」の側面、そして戦争のもう一つの側面ですね。

この本ではしかし、日本の植民地支配下で「公衆衛生学」も普及したという「正」の側面も記されており、その意味では「中立の立場で」と言うか、「感染症の歴史」という「事実」

に基づいて書かれているなと思いました。

 

 

(2020、7、25読了)