『失礼な日本語』(岩佐義樹、ポプラ新書:2020、3、9)

2020 . 7 . 16

2020_081

 

毎日新聞・前校閲部長の岩佐さんの著書を、たまたま書店で見つけて即購入。岩佐さん、教えてくれたらいいのに。

これは大変勉強になる一冊。岩佐さんは、安倍首相の「そもそも」に「基本的に」という意味があると閣議決定した際に、「それはおかしい」と紙面で正々堂々と論じた人。別に「政治的意図」は持っていないのだが、こと「言葉のこと」に対しての「不正」は許さないという「正義の言葉の人」だと思う。他の新聞に、ここまでやる人はいないのではないかと思っている。いたら、すみません、名乗り出てください。

「言葉」は「言葉」だけの問題ではない。それはジョージ・オーウェルの「1984年」を読めばわかる。悪の権力者が行うのは、まず言葉を操作するのだ。「1984年」の世界を支配している「ビッグブラザー」の党の「三大スローガン」は、

「戦争は平和なり」

「自由は隷従なり」

「無知は力である」

である。「言葉の意味」を「無意味化する」という、ある種の「テロ行為」に対して岩佐さんが立ち向かうのは、「言葉の専門家」で日々の記録を残すことが仕事の「ジャーナリスト」として当然の行為だと思った。「言葉の戦士」である。私も及ばずながら加勢したい。

2020年代に「1984年」を到来させてはいけない。

「失礼な日本語」というタイトルは、きっと

「嘘しか言わない政治家」

に向けられたものだろう。

 

(2020、7、11読了)