尾崎士郎の『早稲田大学』に収められた「学校騒動」を読んでいたら、こんな表現が出て来ました。
「堅木実が、目をしばだたきながら西方の手をにぎりしめたとき」(120ページ)
この中の、
「しばだたきながら」
に、私は「目をしばたたき」ました。
「しばだたく」
と、「しば」の後が「だたく」と濁っています。これは普通、
「しばたたく」
と濁らないのではないでしょうか?
『精選版日本国語大辞典』『広辞苑』『新明解国語辞典』『三省堂国語辞典』は、見出しは「しばたたく」しかありませんでしたが、その語釈の中に、
「しばだたく」
も書かれていました。『岩波国語辞典』には載っていませんでした。
ただ、空見出しで、
「しばたく」
は載っていて、
「『しばたたく』を見よ」
とありました。「しばたたく」「しばたたいて」は、つい、
「しばたく」「しばたいて」
と言っている人、いますよね
また「しばたたく」の中の「表記」に関しては、
「『屡(しば)叩(たた)く』の意」
とありました。つまり、
「まぶたを、屡々(しばしば)叩く」
の意味。すなわち俗に言うと、
「目をパチパチする」
ことですね。
(2020、7、31)


