7619「しばだたく」

2020 . 7 . 31

7619

 

尾崎士郎の『早稲田大学』に収められた「学校騒動」を読んでいたら、こんな表現が出て来ました。

「堅木実が、目をしばだたきながら西方の手をにぎりしめたとき」(120ページ)

この中の、

「しばだたきながら」

に、私は「目をしばたたき」ました。

「しばだたく」

と、「しば」の後が「だたく」と濁っています。これは普通、

「しばたたく」

と濁らないのではないでしょうか?

『精選版日本国語大辞典』『広辞苑』『新明解国語辞典』『三省堂国語辞典』は、見出しは「しばたたく」しかありませんでしたが、その語釈の中に、

「しばだたく」

も書かれていました。『岩波国語辞典』には載っていませんでした。

ただ、空見出しで、

「しばたく」

は載っていて、

「『しばたたく』を見よ」

とありました。「しばたたく」「しばたたいて」は、つい、

「しばたく」「しばたいて」

と言っている人、いますよね

また「しばたたく」の中の「表記」に関しては、

「『屡(しば)叩(たた)く』の意」

とありました。つまり、

「まぶたを、屡々(しばしば)叩く」

の意味。すなわち俗に言うと、

「目をパチパチする」

ことですね。

 

(2020、7、31)