7569「こだわり抜かれた」

2020 . 7 . 7

7569

 

きょう(7月7日)の「かんさい情報ネットten.」の人気コーナー「お出かけコンシェルジュ」の「コロナ対策版」である「おでかけしないコンシェルジュ」、お取り寄せやテイクアウトの料理と店などを紹介するのですが、そのナレーションの中で、こんな文章が出て来ました。

「専門店だからこそ、こだわり抜かれた味付けになっているんです」

・・・これはおかしいですね、「抜かれた」が。これは、

「こだわり抜いた」

しかありません。

でも、なぜ「抜かれた」になってしまうんでしょうね?

あ、そうか、

「選び抜かれた」

混同したんだ!つまり、ディレクターは、こう言いたかったのでしょう。

 

「選び抜かれた素材を使った、こだわり抜いた味付け」

 

これが混ざってしまったのではないでしょうか?

「素材」の立場から言うと、料理人に「選び抜かれた」わけですからOKですが、

「味付け」は「専門店(料理人)」が「こだわる」のですから、「受身形」の「抜かれた」ではなく「抜いた」でないと、

「誰がこだわり抜いているのか」

が分からなくなります。

うーん、やっぱり、言葉は省略しないで、一つ一つ「こだわり抜いて」ほしいなーと思いま

した。あ、そもそも、

「こだわる」

というのは、

「一つのこと・小さなつまらないことに執着する。悪いことを指す」

ので、

「プラスイメージで『こだわり抜いた』と使うのはおかしい」

という方もいらっしゃるとは思いますが、私はその点に関しての「こだわり」はありません。「誤用」に厳しい『岩波国語辞典』も、この使い方については、

「近ごろの用法」

とは一言、書いてありますが、「誤用」とはしていません。

 

(2020、7、7)