本屋さんで、たまたま見かけた。去年の11月に出て、もう半年以上経っている。不勉強で著者の名前も知らないし、作品のことも知らなかったが、やはり「大阪・京橋」の会社に勤めて30年、毎日毎日通っている身としては、このタイトル「グランドシャトー」に惹かれた。そう、関西人の中高年以上はみんな知っている、あのCMソング、
♪京橋は ええとこだっせ グランシャト―が おまっせ
で有名な大阪・京橋に実在するキャバレー「グランシャトー」が舞台なのだ!
昭和30年代後半から時代は「平成」へ。姫路の家に居られなくなった少女が、72歳になるまでホステスとして働いて来た「キャバレー」の歴史、「昭和」の歴史をともに描いている。
あとで、著者のインタビューをネット記事で読んだら、主人公は「和田アキ子」さんと「上沼恵美子」さんを足して2で割ったイメージだそうだ。また、「やしきたかじん」さんを彷彿させる男も出て来る。
主人公と、その主人公が姉と慕う「真珠」が一緒に住む長屋は「中崎町」にある。京橋と中崎町、この設定も良い。作家で放送作家の増山実さんの作品にも“匂い”が似ているなと感じた。おもしろかった。
ちょうど読み終わった日に、「グランシャトー」のCMソングを歌っていた「リリアン」の訃報を知る。69歳。
いま、「昭和」は終わった。
(2020、7、19読了)


