最近、よく耳にする言葉に、
「法律の『立て(建て)付け』」
というような「立て付け」があります。
「立て付け」と聞くと普通は、
「扉の立て(建て)付けが悪い」
のように、「建築(インテリア)関連用語」だという認識ですが、6月13日放送の読売テレビ『そこまで言って委員会NP』でも、出演者の竹田恒泰さんが、
「刑法でも立て付けがあって」
という「立て付け」を使っていました。
『広辞苑』には、
「立て付け(建て付け)の悪いふすま」
というような用例の「たてつけ」と、
「たてつづけに」
の意味の「たてつけ」しか載っていませんでした。大きな辞書の『精選版日本国語大辞典』『大辞林』も同じでした。
また、少し小型の『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』『三省堂国語辞典』『岩波国語辞典』『現代国語例解辞典』には「ドア」「ふすま」の「たてつけ」しか載っていませんでした。
「法律の立て(建て)付け」
という用法は、新しい使い方なのでしょうね。
グーグル検索では(6月25日)
「法律の立て付け」=3万0800件
で、トップに出て来たのは、今から10年前の2010年4月20日、前原誠司国土交通大臣(当時)の発言で、以下のような質疑応答の中に出て来ます。
https://www.mlit.go.jp/report/interview/daijin100420.html
(問)高速道路の料金割引について、法律というより料金割引の内容について、かなり党内からも異論が出ておりますが、それについてここ数日間の各方面からの意見を踏まえて大臣のご所見をお願いします。
(答)『法律の立て付け』といたしましては、利便増進の中身を変更すると。
今まで料金割引とスマートインターチェンジに使われていたものをB/Cの高い高速道路の建設に回すということと、インターチェンジの建設にも回せるという中身にすること、あるいは国幹会議の廃止といったものが法律でありまして(以下略)
というものでした。どうやら、
「官僚用語・政治家用語」
のようですね。
またことし4月20日の「ヤフー知恵袋」に、
『最近、報道番組などで「法律の立てつけ」という表現をよく耳にします。たとえば、「法律の立てつけで、日本では外出を禁止することはできない」です。この「法律の立てつけ」は、英語で何と言えばよいのでしょうか。』
という質問があり、ベストアンサーは、
『legal frameworkと言えると思います。』
でした。
国語辞典には、今後載るかもしれませんね。


