出口治明さんの本(『還暦からの底力』講談社現代新書)を読んでいたら、
「腑に落ちる」
の意味で、
「腹落ちする」
という表現が出て来たのを目にしました。
「目的を確認して腹落ちしたら」「腹落ちさえすれば」(58ページ)
「先に腹落ちすると」「腹落ちしない仕事にはまったくやる気が出ませんでした。」(59ページ)
というような感じです。原がスタメン落ちしたような感じ。私は使わない表現ですが、辞書に載っているのでしょうか?
『広辞苑』『明鏡国語辞典』『新明解国語辞典』『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』『岩波国語辞典』『三省堂国語辞典』『三省堂現代新国語辞典』『新選国語辞典』『現代国語例解辞典』『新潮現代国語辞典』『大辞林』には「腹落ち」は載っていませんでした。載っているとすれば「パラオ」と「腹帯」の間にあるはずですが、ありませんでした。出口さんの「造語」なのでしょうか?しかし、これ以外にも見た覚えはあります。
グーグルでネット検索してみると(6月30日)、
・「腹落ち」=20万4000件
出て来ました!「実用日本語表現辞典」というサイトには、
*「腹落ち」(読み方:はらおち)
=納得すること、成程と思うこと、腹に落ちること、などの意味の表現。同じ意味の慣用句「腹に落ちる」を名詞として使う際の表現。
と載っていました。
今後、辞書に載るか、注目したいと思います。
(2020、6、30)



(追記)
何と、すでに2回書いていました!
2011年に「平成ことば事情4378腹にすとんとおちる」で、『大学の下流化』(竹内洋、NTT出版)を読んで、2019年に「平成ことば事情7097腹落ち感」では『イントロの法則80’s』(スージー鈴木、文藝春秋)を読んで「腹にすとんと落ちる」「腹落ち」が気になっていました。
そして2021年3月24日の日本テレビ「スッキリ」で、「SHOWROOM株式会社」の代表取締役社長・前田裕二さん(1987年生まれ)が、
「そこが明らかにされれば、『腹落ち』できるんです。」
としゃべっていました。これは言い換えれば、
「納得できる」「腑に落ちる」
ですね。何で「腹落ち」って言うんだろうか???
「腹落ち」を使う気持ちが、「腹落ち」できないです。
(2021、3、26)