『雪(そそ)ぐ人~えん罪弁護士 今村核』佐々木健一、NHK出版:2018、6、20)

2020 . 6 . 8

2020_065

 

NHKのディレクター佐々木健一さんが番組で取り上げたものを、文章でまとめた一冊。

2020読書日記064で書いた『「面白い」のつくりかた』(佐々木健一、新潮新書)を読んで、「そういえば、この本も買ったけど、まだ読んでなかった」と、これも引っ張り出してきて読んだ。

面白い。

佐々木さんは過去にも何冊かそういった書物を表しているが、番組ともども大変面白い、興味を引くものになっている。

今回は「冤罪弁護士」。

日本の裁判では、もう起訴されたら「99、9%」有罪になる。つまり1000件に1件しか「無罪」になることはないと。「無罪」になるということは「冤罪」である(たぶん)。普通の弁護士は、一生の仕事の中で「1件あればいいかな」ぐらいのものだそうだ。

そんな中で、この本で紹介された今村核弁護士は、なんと「14件」も「無罪」を勝ち取っているという。それだけで「どんな人なんだろう?」という興味が湧く。

最初はとっつきにくかった今村弁護士が、徐々に心を開いてくれて、彼の人間性が見えて来るが、意外にも「冤罪弁護士」になりたくてなったわけではないと。なぜならば「無罪」を勝ち取っても、その労力に見合うような報酬が得られないことが多いからだと言う。そりゃあ、こんなに徹底的に積み上げる方法で証明してやっていては、「モト(お金)」は取れないだろうなあと、素人の私でも思いました。それによって、所属する弁護士事務所にも迷惑をかけているという引け目とか、やめようと思ってもやってしまうという、そういう人柄とか、家庭環境とか。人間模様が、あれやこれや・・・。ついつい読み進んでしまいました。

 

 

(2020、6、4読了)