『「面白い」のつくりかた』(佐々木健一、新潮新書:2019、9、20)

2020 . 6 . 8

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知り合いのNHKディレクター佐々木さんの本。去年秋に出ていて購入したのを忘れていて、「積ん読」になっていたものを引っ張り出してきて読んだ。

佐々木さんは「面白い」作品を作る。「お笑い」の面白いではなく、

「知的好奇心をくすぐる面白さ」

である。そもそも「面白い」とは何か?から、本書は始まる。最初にそのことが書いてある。

「『面白い』とは“差異”と“共感”の両輪である」

なるほど「差異」が「おもしろさ」につながるのは、わかる。でもそれだけでは、ダメなんだよね。「共感」、つまり視聴者に伝わらないと。でも、大事なのは「共感」ではなく「差異」のほうだと、佐々木さんは主張する。また「共感」も、「単なる共感」ではなく「深い共感」が必要だと。うーん、深い。

そしてそのために、佐々木さんが「ためになった言葉」も、惜しげもなく披露されている。例えば、黒澤明監督が大島渚監督と対談した時の言葉、

「創造とは“記憶”である」

これは「無から有が生まれるのではなく、有からしか有は生まれない」ということ。また、

「会議という場で度肝を抜くほど突き抜けた案が導き出されることはほとんどない」

「集団における問題解決の能力は、同質性とトレードオフの関係にあります。(中略)『似たような意見や指向』を持った人たちが集まると知的生産のクォリティは低下してしまうということです。」(山口周)

「良いアイデアは『制約』と『必然性』から生まれる」

「『取材=話を聞く』ではない」

「問われているのは常に“自分”である」

「名作に共通する物語の基本構造『三幕構成』」

「地道に調べ、よく学ぶという正攻法しか、いいアイデアを生む道はない」

なども「そうそう」と思う名言ですね。あと、

「今は、空前のゾンビブーム」

とありました。全然、気付かなかった!言われてみれば、確かにそうですね。映画「カメラを止めるな!」も「ゾンビ映画」だったしな。なんで今「ゾンビブーム」なのかを考えると、世相が見えて来るかも!あとは、読んで見てください!

 

 

(2020、5、27読了)