7506「ソーシャルの訳語」

2020 . 6 . 5

7506

 

5月末、アメリカのトランプ大統領が「ソーシャルメディア」企業に対して、規制、もしくは閉鎖の可能性を警告しました。これを聞いて「またか」と思うと同時に「ちょっと待てよ」と。この、

「ソーシャルメディア」

というのは、これまでの「新聞」「週刊誌」「テレビ」「ラジオ」といった、

「(マス)メディア」

とどう違うのか?もちろん「ソーシャルメディア」というのが、

「ツイッター」や「インスタグラム」「フェイスブック」

等を指すのはわかっていますが、それらも「新聞」「週刊誌」「テレビ」「ラジオ」と同じく「メディア」

と呼べばいいのではないか?

「新聞」や「テレビ」は「ソーシャル(メディア)」ではないのか?

「ソーシャル」って何?

なんか、チコちゃんのような感じです。ボーッと生きています・・・。そう言えば、

「社交ダンス」

のことを、

「ソシアルダンス」

とも言いますよね。この、

「ソシアル」=「ソーシャル」

ですね!ということは、

「ソシアル」=「社交」=「ソーシャル」

という訳語ですね。

「ソーシャル」=社会、社交

ということか。

そもそも「社会」という「訳語」は、恐らく明治時代の初めに作られたものでしょう。

「福沢諭吉」の訳かな?それとも「西周」

辞書を引いてみましょう。大きな国語辞典には、何でも書かれていますねえ。『精選版日本国語大辞典』「社会」の「語誌」に、こうあります。

(1)幕末から明治初期にかけて、西洋のsocietyと言う概念に対応する訳語としては「交際」「仲間」「組み」連中」「社中」などが当てられていた。その中で、福地桜痴が明治8年(1875)1月14日の「東京日日新聞」に初めて「ソサイチー」のルビ付きで「社会」という語を使用した。

(2)「和英語林集成」の初版にはないが改正増補版(1886)では見出し語に立つようになる。ただし、最初は当時の「会社」と重なる部分が多く、かなり狭い意味で用いられていた。明治10年(1877)頃から一般に普及し、現在のような広い意味で使用されるようになった。

 

あ!思い出した、「早稲田大学グリークラブ」の好敵手、

「慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団」

も、団の名前の中に、

「ソサィエティー」

を使っているぞ!そういえば慶應は「女声合唱団」も「オーケストラ」も、

「ワグネル・ソサィエティー」

を名乗っていましたね。

この「ソサィエティー」は、『精選版日本国語大辞典』には、ちょっと表記は違うけど、

*「ソサエティー」=(1)会。協会。団体。(例)自由の理(1872)<中村正直訳>三「この性気ありて又能く修養する人々、寄り合ひてソサイテイ(仲間会社)となれば」

(2)社会。また社交界。(例)ハイソサエティー

と載っていました。

 

この「ソーシャル」について「ミヤネ屋」のOデスクに聞いたら、

「ソーシャルメディア?『SNS』のことですか?」

「そうそう、『SNS=ソーシャル・ネットワークサービス』。ツイッターとかフェイスブックとか。」

「ああ、なるほど・・・」

「『ソーシャル』って何だろうね?」

「なんか、『双方向』の意味で使ってませんか?」

あ、そうか、なるほど。「双方向」、つまり、

「『受信』だけでなく、『発信』もできるメディア」

のことか!

「双方向でやり取りをする」=「ソーシャル」=「社会、社交」

ということですかね。

ちょっと納得しました。

 

(2020、6、5)