7510「レボルバーか?リボルバーか?」

2020 . 6 . 10

7510

 

 

6月8日、東京・八王子市で15歳の少年が拳銃のような物(その後スミス&ウェッソンの回転式拳銃と判明)で自殺を図り、死亡するという事件がありました。

その際に「ミヤネ屋」のMディレクターが、凶器となった回転式拳銃を、

「リボルバー」

と書いてきました。チェックする際に『新聞用語集2007年版』で調べると、

「レボルバー」

と書かれていました。読売新聞社の『読売スタイルブック2020』には「レボルバー」も「リボルバー」も載っていなかったので、『新聞用語集』にならって、

「レボルバー」

に直しました。するとそのMディレクターが、

「『レボルバー』なんて聞いたことがありません。『リボルバー』でしょう!」

と言ってきました。

そこで、国語辞典を引きました。すると手元の『広辞苑』(第6版&7版)、『三省堂国語辞典』(第7版)、『新潮現代国語辞典』(第2版)、『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』『大辞林』(第4版)では全て、

「リボルバー」

になっているではないですか!この中の『精選版日本国語大辞典』と『大辞林』は、見出しは「リボルバー」だけでしたが、その語釈の中には「レボルバー」とも書かれていましたが。

一方、『岩波国語辞典』(第8版)、『新選国語辞典』(第9版)、『三省堂現代新国語辞典』(第6版)、『現代国語例解辞典』(第5版)、『明鏡国語辞典』(第2版)、『新明解国語辞典』(第7版)には、「リボルバー」も「レボルバー」も載っていませんでした。

ちょっと古いんですが、『新聞用語集』と「同じ年」に出た『毎日新聞用語集・改訂新版』(2007年)を引いてみたら

「レボルバー」

しか載っていませんでした。そして、去年(2019年)出た『朝日新聞の用語の手引・改訂新版』は、

「リボルバー」

だけ載っているではありませんか!

また、2016年に出た『共同通信記者ハンドブック第13版』には、

「どちらも載っていません」

でした。うーむ。

グーグル検索では(6月8日)、

・「リボルバー」=730万0000件

・「レボルバー」=  6万7500件

と、圧倒的(100倍以上も)に「リボルバー」が使われていました。

「RE」

という綴りの場合、「再び」という意味ですよね。イスラム教徒に征服されたイベリア半島を、再びキリスト教徒の手に取り戻す「国土回復(再征服)運動」の、

「レコンキスタ」

は、「レ」です。「革命」も、

「レボリューション」

で「レ」です。

「レクリエーション」

「レ」です。でも、

「レポーター」「レポート」→「リポーター」「リポート」

「レ」→「リ」に変わったものもありますし、

「リボルビング払い(リボ払い)」

「リ」だし、

「リフォーム」

だって「リ」。「レフォーム」なんて言いません。やっぱり今は「リ」が優勢なのかな?

流れは、

「レボルバー」→「リボルバー」

のようですね。

結局、この日の放送ではどちらも使わずに、

「回転式拳銃」

で放送しました。

 

(2020、6、10)