5月13日の日本テレビ「スッキリ」を見ていたら、新型コロナウイルス関連の専門家としてリモート出演していた日本感染症学会の佐藤昭裕医師が、東京都が発表する「陽性率」の折れ線グラフについて、
「実際に診察しているハダカンで言いますと、ほぼこのグラフと同じような感じで、患者さんの数は推移している」
ということを述べました。この中の、
「ハダカン」
という言葉は、もちろん、
「裸ン」
ではなく、
「肌感」
ですよね。(感じる部分の「肌」は「裸」かもしれませんが。)つまり、
「肌感覚」
を略した言葉でしょう。意味は、
「データを取ったわけではないが、日々現場で感じている感覚では、そういう感じ」
という意味でしょう。
すぐに意味は分かりましたが、専門の医師が公の放送で使うには軽い言葉だなと思うと同時に、そうは感じないぐらい佐藤医師はこの言葉を使っているのだろうな、とも感じました。佐藤医師は「1982年生まれ」だそうです。30代後半。
グーグル検索では(5月13日)
「肌感」 =83万6000件
「肌感覚」 =55万6000件
「ハダカン」= 1800件
でした。結構「肌感」、出て来ましたが、そのトップの方にあるものの説明を読んでみたら、
「肌感とは、粉未状化粧料用容器または付属品や粉未状化粧料用容器または付属品などの分野において活用されるキーワード」
とあるので、これは「本当の肌で触った感覚」つまり、
「肌ざわり」
を意味する「肌感」のようですね。ちょっと使い方が違いますね。
『三省堂国語辞典』にも「肌感」は載っていませんでしたが、「肌」の項に、
「肌で感じる」
という成句(?)は載っていて、それは、
「直接体験してわかる。肌で知る」
とあり、佐藤先生が言った「肌感」は、こちらの意味ですね。つまり「肌感覚」を略したのではなく、「肌で感じる」を略して「肌感」と言ったのではないでしょうか。
ついでに、こちらも検索。
「肌で感じる」=208万件
でした。意味は、
「実際に体験したり、詳しく見聞きしたりして、現実的なものとして感じ取るさま。 強い実感と共に感じる様子。」(『実用日本語表現辞典』というサイト)
とありました。
(追記)
6月1日の日本テレビ「スッキリ」で、ハリセンボンの近藤春菜さんが、
「私の肌感ですけど」
と「肌感」という言葉を使っていました。
前に「肌感」を使ったお医者さんの先生も「スッキリ」に出ていたので、そこから広がったのかもしれませんね。
(2020、6、1)


