令和ことば事情7326「『竹とうろう』か?『竹どうろう』か?」の続きです。
ことし(2020年)2月に開かれた「新聞用語懇談会放送分科会」で、私から、
「竹とうろう」
と「濁らない」のか?それとも、
「竹どうろう」
と「連濁して濁る」のか?質問しまして各社の意見を伺ったのですが、その結果を残しておきます。
★毎年1月17日の阪神・淡路大震災の中継で必ず出て来る、神戸の東遊園地に「1.17」をかたどって並べられる「竹製の灯籠」の読み方ですが、「竹とうろう」と「濁らない」か、「竹どうろう」と「濁る」かどちらで読まれますか。
ちなみに、アクセント辞典や国語辞典にも「竹灯籠」は載ってなかったのですが、『広辞苑』の「逆引き機能」を使って「とうろう」「どうろう」で検索したところ、「〇〇とうろう」と「濁らない」ものは、「額(がく)灯籠」の1つだけしか載っていなかったのに対して、「〇〇どうろう」と「濁る」ものは、「石灯籠」「遠州灯籠」「折懸灯籠」「篝灯籠」「影灯籠」「春日灯籠」「金(かな)灯籠」「絡繰(からくり)灯籠」「切籠(きりこ)灯籠」「桜灯籠」「玉菊灯籠」「辻灯籠」「釣灯籠」「花灯籠」「牡丹(ぼたん)灯籠」「盆灯籠」「舞灯籠」「回り灯籠」「錑(もじ)灯籠」「雪灯籠」「雪見灯籠」と、全部で「21」も載っていました。(読売テレビ・道浦委員)
これに対する各社の意見は以下の通りです。
(ABC)今年の「1.17」を機に、社内で「ド」と濁ることに決めた。理由は「石灯籠(ドーロー)」など「〇〇灯籠」は濁ることが多いから。ただ、今年の「1.17」の神戸・東遊園の現場のPAの司会の人は「竹トーロー」と清音で濁っていなかったのだが。
(MBS)決めてはいないが、個人的には「トーロー」と濁らずに清音。「タケ」の後に
ド」と濁ると気持ちが悪い。ベテランアナは「ト」。もしくは「の」を入れて「竹のトーロー」にしようと。
(NHK)「竹」の後に「灯籠」がくっついたら「ドーロー」と濁るのでは?ただ、宗教的(スピリッチュアル)なものは濁らない傾向があるのではないか?
(ytv)宗教的なもので言うと、高野山の「万灯会」は「マンド-エ」と「濁る」ので、必ずしも「濁る・濁らない」と「宗教」は関係ないのでは?
(ytv)「1.17」では「竹ドーロー」「竹トーロー」「竹のトーロー」全てあった。今は「竹トーロー」が多くても、徐々に「竹ドーロー」と濁って行くのではないか。
※連濁「する・しない」に関しては「東西差」があり、「研究所」「保健所」などの「所」は、東日本では濁って「ジョ」、西日本では濁らずに「ショ」と言う傾向があります。



(追記)
11月21日付「読売新聞」によると、毎年行われる阪神大震災の追悼行事「1・17のつどい」ですが、新型コロナウイルスの影響で、行事で明かりをともす『竹灯籠』が確保できなくなったとして、来年1月17日の行事では一部を「紙灯籠で代用する」と実行委員会が発表したと報じていました。例年「5000本」必要な「竹灯籠」が、今年はボランティアが『コロナ』の影響で活動を控えたため「2000本」程度しか集まらなかったため、燃えないようにラミネート加工した紙を使った「紙灯籠作り」を、市民や地元の小中学校に製作協力を要請するのだそうです。
「紙灯籠」
は「紙とうろう」「紙どうろう」どっちかな?
(2020、11、24)