『国のうた』(弓狩匡純、角川ソフィア文庫:2020、2、25)

2020 . 5 . 7

2020_050

 

 

世界の「国歌」の歌詞と、その国の背景を紹介した本。

これ、実際に「曲」を聴きながら読みたかったなあ。長野冬季オリンピックの時に、小澤征爾さんが指揮して録音された「世界のアンセム(国歌)」のCDを、たしか買ったはずなのに、どこへ行ったのか見つけられませんでした。たぶん、忘れたころに出て来るな。

スペインの国歌は歌詞がないんだね!知らなかった!

ヨーロッパの国の歌には「植物」がよく出て来ますね。

・クロアチア=樫の木

・チェコ=松の木

・デンマーク=ブナの木

・バチカン=棕櫚(シュロ)

・ルクセンブルク=ブドウ畑・ワイン

「国歌」に「ワイン」が出て来るなんて素敵だ!乾杯!!

アジアでは、

・バングラデシュ=マングローブ

・ブータン=白檀の木

それぞれ国の特徴が表れていますね!

あと、最後に「失われし国の歌」があるのも興味深い。載っているのは、

「旧イラク」「ソ連」「チベット」「パレスチナ」「ハワイ王国」「旧東ドイツ」「満洲国」。

なるほど、「国」は、なくなる(消滅する)こともあるんだな・・・。

気になったのは、歌詞の中に出て来る、

「祖国」と「母国」

です。その言葉の「原語」を見ると、

*「祖国」=父の国(Vaterland、Patrie、Our home、Our land、patriot)

*「母国」=母の国

なのですね。どちらを使うのか?ということが気になりました。

日本語訳では圧倒的に「祖国」が多いのですが、これは「男系社会」だから?

それぞれを歌詞の中に含んでいる国を挙げると、

*「祖国」=アイルランド(父祖の国)・ウクライナ・スイス・ドイツ・フィンランド・フランス・ブルガリア・ベルギー・ポーランド・ポルトガル・モナコ・ルクセンブルク・ロシア・アフガニスタン・オーストラリア・スリランカ・北朝鮮・パキスタン・ベトナム・ミクロネシア・ラオス・ウルグアイ・カナダ・キューバ・ジャマイカ(land we lave)・ブラジル・メキシコ・イスラエル・サウジアラビア・南アフリカ・モロッコ・レバノン

*「母国」=インドネシア・スリランカ(母なるスリランカ)・バングラデシュ(母なる大地)

*「故郷」=チェコ・アメリカ(自由の地・勇者の故郷)・カナダ(=nativeland我らが故郷)

*「故国」=クロアチア(我が麗しき故国)・ミャンマー(ミャンマー・故国)・エジプト(故国)

*「この国」=ハンガリー・ノルウェー

*「我らが国・わが国」系=韓国(わが国)・ニュージーランド(我らの自由な国・我らの国)・ケニア(私たちの国)・ブルネイ(我らが国)・マレーシア(私の国)・モンゴル(我らが不可侵の革命の国)・ジャマイカ(our land我らの地)

*「その他」=オーストリア(山々の国、美しき河の国、耐えざる試練の国など)・スウェーデン(北の国)・デンマーク(麗しき国)・カンボジア(王国・帝国)・フィリピン(聖なる大地)・ブータン(雷龍の王国)・コロンビア(コロンブスの大地)・エチオピア(エチオピアの大地)・ギニア(ギニアの国)

という感じでした。

 

 

(2020、4、29読了)