『萩尾望都と竹宮惠子~大泉サロンの少女マンガ革命』中川右介、幻冬舎新書:2020、3、25)

2020 . 5 . 19

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クラシック音楽から歌謡曲、歌舞伎・阪神タイガース・政治体制・漫画と幅広く「文化」について語る著者・中川さん。私は買ったけどまだ読めていない『手塚治虫とトキワ荘』について去年(2019年)5月に分厚い本が出たかと思ったら、今度は「少女マンガのトキワ荘」と言える「大泉サロン」というものについての本。絶対、「手塚治虫」とその弟子筋の「少年マンガ家」を調べる延長線上というか周縁に「少女マンガ」の世界があって、それについても調べていって書いたんだなと。これも去年だったか一昨年だったかに、解散した「SMAP」についての本を出したらすぐに、その前の時代の「歌謡曲の歴史」についての本が出た。漫画でも「ドラえもん」に関する本を書いてらっしゃるが、「ドラえもん」の作者・藤子不二雄は「トキワ荘の住人」であったわけですから、つまり、

「全部つながっている」

んですよね。そこが凄い。

私は、マンガは好きだが、「少女マンガ」は全然、守備範囲ではないので、そんなに興味があるわけではない。この本を読んでいても、ほとんど読んだことのない作品ばかりが出てくる。そんな「少女マンガオンチ」の私でも名前を知っている少女マンガ家が、本書の主人公「萩尾望都」と「竹宮惠子」である。(あとは山岸涼子、里中満智子あたりは知っている。)

竹宮さんは、日本で初めて(だったと思う)「マンガ学部」ができた「京都精華大学」の教授・学長にまでなられたというのは知っていた。地元・関西なので。

この本に出て来る「少女マンガ」で唯一、読んだことがあって手元に本があるのは、萩尾望都の『11人いる!』(文庫版)だけだ。

その二人が、若かりし頃に「同居」していたことや、1960年代後半の「マンガ(家)少女たち」のムーブメントに関しては全く知らなかった。

この二人など「1949年(昭和24年)生まれ」の女性マンガ家が「花の24年組」と呼ばれていたそうだ。「花の〇〇」で覚えているのは、大相撲の「花の28年(ニッパチ)組」、北の湖や2代目若乃花、麒麟児、金城、大錦ぐらいしか知らない。

そして、二人と一緒に暮らしていてマネージャーというか原作者というか、そういう役割を果たした女性(増山法恵=「大泉サロン」の主催者)がいたことも初めて知った。

(ついでに、里中満智子が大阪の桜宮高校出身(中退)というのも知らなかった。)

東京・練馬のキャベツ畑の中にあった「大泉サロン」は、2年で終わりを告げる。増山によると、少女マンガの世界に2人(3人)で「20年ぐらい」かけて「革命」を起こそうとしていたが、実際は「10年」でそれを達成してしまった、と。

知らないことだらけである。赤いボールペンで線を引きまくってしまった。

中川さんは、過去の著作から松田聖子や中森明菜、「月9」ドラマのヒロイン女優や80年代のアイドルを例に挙げて、最後にこう締めくくっていた。

「日本で革命を達成するのは、二十歳前後の女性なのだ」

決まったー!

という感じだが、冷静になったよく考えると、「え?本当?」と。「女性」とは限らない気がしました。

 

 

(2020、5、18読了)