4月7日午後5時43分、安倍首相は「緊急事態宣言」を、
「発出」
しました。この「はっしゅつ」と読む言葉は、聞き慣れません。
きょう(7日)の「ミヤネ屋」では、
「発出」「発令」
共に使いましたが、「ミヤネ屋」OA後に、
「『かんさい情報ネットten.』では『発出』は、言葉が聞き慣れないので言い換える。そして『発令』は使わない」
と報道デスクが言っていました。え>そうなの?なんで?と思っていたら、実際「ten.」で中谷キャスターは、安倍首相が「発出」した直後は、
「発令しました」
と2度、言いましたが、その後は黒木アナを含めて、
「緊急事態宣言を出した」
と言っていて「発令」は使っていませんました。
私が、他局を見た(聞いた)範囲では(4月7日)、
日テレ「every.」=「発令」は使わず「出す」「出た」
TBS=「発表」
KTV=「出る」
NHK(BK)=「行いました」
で、新聞(4月7日夕刊)は、
「読売・毎日・産経・日経」=「発令」
「朝日」=「出す」
でした。
「日テレでは『発令』は使わないことになっているのか?」
について、東京の「ミヤネ屋」デスクにメールで尋ねたところ、
「きのう(6日)、日テレ政治部デスクから、下記のような連絡が各番組宛てに来ていました。」
として、
「原稿上の表現として、緊急事態宣言を『発令』は使わない。『緊急事態宣言を出す』『緊急事態宣言が出る』でお願いします。」
とのこと。理由は、
- 政府が「発出」と表現しているのでそれに倣う形で、なおかつ聴き取りやすいよう「出す」「出される」を使っている。
(2)「(緊急事態)宣言」は「命令」ではないだろう、との判断。
とのことでした。早く教えてほしかった。
読売テレビアナウンス部でも、さっそく萩原アナウンス部長から、以下のようなメールがアナウンス部員に送られました。
『アナウンサー各位
きょう(7日)の「緊急事態宣言」に際して、夕方の各局報道で、
「緊急事態宣言を出す」「緊急事態宣言を発令」「緊急事態宣言を発出」
といろいろな言い方が出てきました。
夜勤の平松アナも「“発出”は初めて聞いた」と言っていましたが、耳慣れない言葉だし、音の上で伝わりにくいですね。
「発令」でもない内容だし「出す」でじゅうぶん、と平松アナと話しました。
その後、道浦さんからも『NTV報道が「出す」「出る」でお願いと指定してきた』という情報をもらいました。平易な言い方なのでこれがいちばんでしょう。ニュースや話題で扱うときには特段のことがない限り「出す」「出る」で伝えてください。(デスクには確認を!)
よろしくお願いします。」
「発出」に関して、辞書を引いてみましたが、
『旺文社国語辞典』『岩波国語辞典』『明鏡国語辞典』『現代国語例解辞典』『新選国語辞典』
には載っていませんでした。
『広辞苑』には、
・「発出」=(1)あらわれること。あらわすこと。おこすこと。(2)出発に同じ
とありますが、この意味での「発出」は載っていません。
ところが、『新明解国語辞典』には、
・「発出」=役所などから通達を出すこと。(例)局長通達を発出する
と載っていました。
また、『三省堂国語辞典』にも、
・「発出」=文書・談話などを、外に向かって出すこと(例)通知を発出する
と載っていました。「(お)役所用語」のようですね。
一方「発令」は、
『三省堂国語辞典』=辞令・警報などを出すこと。
『岩波国語辞典』=命令・辞令などを出すこと。
『広辞苑』=法令・辞令などを発布・公表すること。
『新明解国語辞典』=法令・辞令・命令などを出すこと。
などと載っていました。
この段階で、
「とりあえず『発令』を使うのは避けましょう。
(例)ד史上初”緊急事態宣言 発令→〇史上初”緊急事態宣言」
ということになりました。
明けて4月8日の朝刊各紙は、
「読売・日経・毎日」が「発令」を使い、「朝日」は「リード」で「出した」、産経は「宣言した」(「見出し」は共に「緊急事態宣言」で体言止め)でした。
【大見出し】 【リード】
(読売)緊急事態宣言 発令 緊急事態宣言を発令した
(日経)緊急事態宣言を発令 緊急事態宣言を発令した
(毎日)緊急事態宣言 発令 「緊急事態宣言」を発令した
(朝日)7都府県 緊急事態宣言 緊急事態宣言を出した
(産経)コロナ 緊急事態宣言 緊急事態を宣言した


