混迷する21世紀の日本において、いや全世界にとって、非常に魅力的なタイトル。
全体的に繰り返しも多く(もう少し全体にすっきり短くできそう)難しい内容でした。
一番「そうだったのか!」と思わされたのは、この本の「筋」「骨」として、「右・左」という思想の対立ではなく「ロックvsルソー」という視点を取り入れたことで、それはものすごく新しい切り口ではないかと思いました。
私がこのところ気にしていた「平等」という概念。フランス革命のスローガン、
「自由、平等、博愛(友愛)」
ですが、普通はこれら3つの概念は全て「プラスのほうこう」を向いているように思いますが、よく考えると「自由」と「平等」は相反する概念です。みんな「平等」にしようとすれば「自由」は抑制されます。みんな「自由」にすれば(自由競争)「平等」にはなりませんからね。
でも、これには私は答えを出しました。「平等」にも2種類あるのです。つまり、
「機会の平等」と「結果の平等」です。
「機会の平等」は「新自由主義」、「スタートラインは同じ」であとは「よーいドン!」で実力に応じた結果が出る。そして「結果の平等」はスタートはバラバラ、ゴールもバラバラでも「ご褒美は同じ」というどちらかと言うと「共産主義的」です。これが混ざってしまう所が混乱する原因です。その意味では、
「ロック=機会の平等」
「ルソー=結果の平等」
につながる考えで、時代は、
「ロック」(古典派経済学)→「ルソー」(ケインズ経済学・マルクス主義)→「ロック」(ネオ・リベラリズム)
というように流れて来ているのですが、現在の「ロック的世界(ネオ・リベラリズム)」が行き詰まりを見せている中で、資本主義の次なる展開は?ということが書かれている一冊です。
(2020、4、7読了)


