ストーリー

第9話 12月10日(木)深夜1時29分~

  ある日、窪寺和臣(高田翔)は、街中で、重い荷物を持って歩く老婦人、三浦節子(丘みつ子)と出会う。和臣は、その節子に亡くなった祖母の面影をみて、思わず手を貸すのだった。その節子は長野から人探しに出てきたと言う。

  和臣は、節子を「喫茶&スナック アラバマ」に連れて行くと、ママの石田静江(高島礼子)のほか、浅木晴也(玉森裕太)ら、いつものメンバーがいて節子を囲む。節子が探しているのは秋山という初恋の人だった。板前で結婚の約束までしたというその男と、18の時にあるきっかけで別れて、それきりだと言う。その後、節子は別の人と結婚したが、その夫とも死別し、今は天涯孤独の身。皆、同情して聞いているが、晴也だけが、わずかな違和感を感じていて……。「彼は今、東京にいるはずで、伝えたいことがあって出てきたの」と節子。探す手がかりは、新聞に偶然掲載された写真だけだった。それは、商店街の祭りの記事で、「あれ?これ、うちの商店街じゃない?」と静江。しかし、その人には見覚えがないと言う。ガッカリする節子。それを見かねて和臣は、晴也を巻き込み「俺たちがこの秋山さんを探すよ!」と請け負うのだった。

  翌日、晴也と篠原俊喜(阿見201)、能見美羽(新川優愛)が、初恋の人の写真を手に、商店街を聞きまわる。「知らない顔だなあ」と口をそろえる商店街の人々。

  一方、節子は、付き添っている和臣に「いい仲間って感じだね、あんたたち」と言う。そして自分にも60年来の親友がいるんだ、と和臣に“ミッチャン”との写真を見せる。

  その頃、晴也たちは「鈴木運送」という会社にいた。そこに秋山が勤めていたようだが、社長や作業員は個人情報だからと何も教えてくれない。だが、体格のいい俊喜が荷物運びを手伝いだすと態度が和らぎ、秋山が半年前に辞めたことを晴也に教えてくれる。さらに晴也は、秋山の置いていった雀荘のネーム入りのマッチなど私物を預かることになる。その時、社長夫人が物言いたげにいることに気付き、問い詰めると、夫人は「彼を見つけたら私にも教えてよ。困るのよ、お金貸したのに」と言う。病気の子供がいるというので同情し、社長に内緒でお金を貸したら、すべて嘘で逃げられたらしい。

  晴也は、秋山の私物を手がかりに美羽と雀荘に行ってみる。すると秋山耕治(名高達男)がフラリと現れた。慌てて後を追うと、秋山は裕福そうなおばあちゃんと合流し、銀行の封筒を受け取っていた。「奥さんかしら?」と美羽。「……違うだろ」と怪しむ晴也。その後、秋山は「シルバー人材サービス」という人材派遣の会社に入っていった。そこに庭師として登録されている秋山。晴也が張り込みを続けていると、そこのスタッフが、ホームレスに「一人暮らしの老人と会話するだけで一万円をやる」と声をかけていた。「…怪しいな、あいつら」と晴也。調べてみると、代表の大石(コトブキツカサ)には、詐欺やマルチ商法で捕まった前歴があった。

  「秋山も、犯罪に一枚かんでるかもしれない」と晴也が言うと、和臣は「そんなわけないだろ!」と怒る。「節子さんも怪しい。秋山が板前というのも嘘だし、何か隠してる」と晴也。和臣は、節子を疑う晴也に腹を立て、「もういい!あとは俺がやる!」と出ていく。

  秋山を不審に思う晴也は調査を続ける。晴也は一人暮らしの老人からの依頼だと偽って、庭師の秋山を呼んでみると、実際は働きぶりのいい人間だった。続いて晴也は「シルバー人材サービス」に入り込み、大石の電話を盗み聞く。相手は秋山だった。秋山は仕事を辞めたがっているようで、それを大石が借金をたてに脅し、止めているようだった。

  その頃、和臣は節子を連れ、秋山の馴染みの雀荘に来ていた。そこへ現れる秋山。節子を見て「あなたは…」と驚く秋山。そんな中、大石が突然現れ、秋山とそばにいた節子や和臣までも車で連れ去っていく。

  「アラバマ」に戻った晴也は、大石たちが高齢者相手に詐欺をしていたことを確信する。すると、アルバイトの冬本薫(伊倉愛美)が「節子さんと和臣がさらわれた!」と駆けてくる。節子が落としたと思われる携帯に電話がかかってくる。節子の息子からだった。「節子さんの息子?節子さんって天涯孤独なんじゃ……」と晴也。

  シルバー人材センターに軟禁されている秋山と節子、和臣。「足抜けしたいって理由に、こいつらが関係してるのか?」と大石。「この人たちは関係ない!」と秋山。だが節子は、カバンに隠し持っていた包丁を取り出し、「私たちをここから出しな!」と大石を脅すが、すぐに包丁を奪われてしまう。和臣も応戦するがやられてしまうと、晴也たちが駆けつける。「てめえら、お年寄り相手に詐欺を働いていただろ」と晴也。「ゴミみたいなジジイババアを騙して何が悪い!」と開き直る大石だったが、晴也に懲らしめられる。

  「どういうこと!?」と和臣。「秋山さんは、この詐欺グループの一員として働いていたんだ」と晴也。「そんな…」と和臣。その秋山に「ミッチャンに謝れ!」と節子。節子の親友、ミッチャンは、死ぬ間際、秋山の結婚詐欺にあっていた。実はミッチャンの復讐のため、節子は秋山を探していたのだ。「ミッチャンは最期まであんたを信じていたんだよ!」と節子。秋山はミッチャンからお金を奪えなかったと言う。「馬鹿だよ、あんたもミッチャンも」と節子。秋山は今度こそ足を洗い、自首する決心をするのだった。

  晴也たちに礼を言う節子。「何が天涯孤独だよ。長野でバリバリ民宿やって、孫は15人いるらしいじゃないか」と和臣。節子は「ありがとう。あんたは最高の孫だよ」と言って、去るのだった。
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