ストーリー

第8話 12月3日(木)深夜0時9分~

  浅木晴也(玉森裕太)が通う東京学院大学の特別講座に、有名なカリスマ教育評論家の富田令子(いしのようこ)がやって来た。“ミス東学”である能見美羽(新川優愛)が司会を務め、学生たちにも好評だった。窪寺和臣(高田翔)などは、令子に感化されていたが、興味なさげにいる晴也。帰りがけに不穏な空気で令子を睨みつける谷花子(宮田早苗)を見かける。講演後、美羽が、令子の娘、富田リカ(小林麗菜)とともに、令子を労っていると、花束に添えられた脅迫状が届く。内容は「お前のやり方はただの洗脳だ。これ以上メディアに出るなら、お前の目の前で自殺してやる」というものだった。驚いた美羽はすぐに晴也に相談するが、“評論家”という人種が苦手な晴也は及び腰。だが、報酬が破格の100万円だと聞き、傍にいた和臣、篠原俊喜(阿見201)が色めき立つ……

  「喫茶&スナック アラバマ」で、改めて晴也たちに直接依頼をする令子。晴也は渋っていたが、妹の楓花(篠川桃音)までもが、令子のファンと知り、渋々引き受ける。

  晴也は、書店で開かれる令子のサイン会に立ち会うことに。そこへ、東都テレビのプロデューサーだという川崎明(デビット伊東)が来て、令子に付き添う。晴也が見ていると、サインの列に花子が並んでいた。すると花子は令子の前に来て、刃物のカッターを振り下ろす。「やめろ!」晴也が間一髪でそれを阻止。騒ぎになり、花子は警備員に連れられて行く。晴也は事情を問い詰めると、花子は、令子の「子供の進路を親が決めてやるのは当然だ」という教えに従い、子供を教育してきたが、反発して家を出て行ってしまい、それを逆恨みしての行動だった。しかもその子供の年は32だと言う。「いい大人じゃねえか」と呆れる晴也。しかし花子は、脅迫状を送ったりなどしていないと言う。「犯人は別にいるってことか」と晴也。事件の調査は振り出しに戻る。

  令子のマンションに行く晴也。そこにはリカもいて、「騒ぎがおさまるまで活動は控えるべきだ」と令子に言うが、これからがリカとの仕事も増える大事な時期だと、それを断る令子。最近、リカとともに「理想の親子」としての仕事が増えていた。リカが幼いときに夫を亡くしてから、令子は一人でリカを育ててきたのだ。「子供が迷ったとき、正しい道を指し示すのが親の責任」と令子はますます仕事に励む。一方、飼い犬の世話をしながら、浮かない顔をしているリカの様子を見逃さない晴也。リカから、かつて令子が川崎と不倫をしていたことを聞かされる。そしてリカは、自分のことを“じっと存在感を隠して、母の成功を支える『プロ娘』”だと言い、母を守るのが使命だと言った。実はリカは、トリマーになりたいという夢を持っていたが、それを令子に言いかねていた。令子は、リカのその思いに気付かず、リカの進路を決めていく。

  その折、川崎が、テレビ局にも届いたという令子宛の脅迫状を持って、令子の前に現れる。「これが世間に出れば、テレビは出演自粛、マスコミが騒いで大変なことになる」と、情報を伏せる代わりに令子に復縁を迫るのだった。リカがその川崎を憤怒の表情で見る。

  ある日、川崎はリカをビルの屋上に呼び出す。令子との復縁のため、リカを味方に付けようとするのが、そのリカが川崎のもとを逃げ出した。リカの後をつけていた晴也と和臣は、ビルの下で血を流して倒れている川崎の姿を見かける。

  その後、晴也はリカを追うが、マンションの部屋に閉じこもったきり出てこない。晴也はゴミ箱に捨ててあった、トリマー専門学校のパンフレットに目を留める。その学校に行ってみると、リカは何度か見学に来ているようだった。そこで晴也は、リカが「動物の親はどんな子も無償で愛するけど、人間の親は、言うことを聞く子供しか愛さない」と言っていたことを知る。

  一方、令子は、100万円の報酬を美羽に渡す。川崎が倒れてから脅迫はピタリとやみ、犯人は川崎だったのかもしれない、もう調査は終わりにしていいと告げる令子。100万円は報酬でなく、口止め料だと言う。

  晴也は令子のマンションに行き、「これは受け取れない」と100万円を令子に付き返すと、部屋に閉じこもるリカのもとへ。「脅迫状は君の仕業だろ?」と晴也。驚く令子。晴也は脅迫状と一緒に届いた花束の送り状を入手していた。送り状の筆跡はリカのものだった。晴也は、リカに「君はお母さんの敷いたレールの上を走ることに嫌気がさしたんだ。だからって、脅迫状を送るのは、ちょっと違うんじゃないか」と話しかける。リカは「もう、言いなりはイヤ!」と部屋を飛び出し、屋上に駆けて行く。追いかける晴也と令子。リカは川崎に、脅迫状を書いたのは自分だと告白し、これ以上自分たちを利用するなら、理想の親子が虚像であることを暴露すると脅したのだった。「リカがそんな……。わかったわ。わたしがもっといい道を探してあげる」と令子。「それがダメなんだ」と晴也。「娘が道を誤るのを見過ごせって言うの!?」と令子。「もっと娘を信じろ!」とそれを一喝すると、晴也は、屋上から落ちそうなリカを間一髪で引き上げた。

  重症だった川崎が目を覚ました。川崎は妻からの電話に驚き、階段から足を踏み外しただけだった。また、リカも令子と話し合い、トリマーになる夢へ前進したと言う。晴也に感謝を伝えるリカ。

  「そういえば、報酬は?」と言う「アラバマ」のママ、石田静江(高島礼子)とアルバイトの冬本薫(伊倉愛美)。晴也、和臣、俊喜たちはもらい損ねた報酬に代わり、東都テレビの「大食い競争東京選手権」の賞金100万円を狙うのだった。
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